瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

石綿労災、昨年度の申請8倍に 認定は2倍強


  仕事でアスベスト(石綿)による疾病を患った労働者や遺族に治療費や年金
を支給する労災保険の申請が激増していることが、全国の労働局に朝日新聞
社が聞き取りした結果わかった。把握できた労働局分の05年度の申請数は前
年度の8倍余り。一方で労災の認定数は2倍強にとどまり、残りは調査中がほ
とんどだ。申請はクボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の被害が表面化した昨年
6月以降に急増している。

  申請窓口となる労働基準監督署を監督する47都道府県の労働局に、原則
として今年2月末現在で集計した05年度の申請・認定数と、04年度1年分を
尋ねた。

  その結果、申請・認定のいずれかでも「統計を取っていない」などとした労働
局を除く36府県分の05年度の申請数は983件、認定数は255件で、04年度
のそれぞれ117件、111件から大幅に増えていた。

  申請数の増加が目立ったのは、クボタを抱える兵庫の228件(04年度は23
件)▽神奈川139(16)▽広島79(14)▽福岡70(8)▽愛知61(7)▽埼玉3
8(7)▽新潟37(1)▽静岡36(8)▽山口31(3)などだった。

  「クボタ報道」を急増の背景に挙げるところが多く、04年度の申請・認定がい
ずれもゼロだった労働局は15あった。

  認定件数では大阪67(25)▽東京47(18)▽神奈川57(24)▽兵庫44(2
0)▽北海道19(8)▽新潟16(1)▽福岡16(7)▽愛知14(6)などで際だっ
ており、申請・認定とも工業地帯や造船業が盛んな地域に集中する傾向が見ら
れた。

  ただ、大阪と東京の05年度の申請数はそれぞれ216と約150だったが、
前年度分は「回答しない」としたほか、北海道、岐阜、奈良、岡山、香川、佐
賀、長崎、熊本、沖縄も両年度の申請・認定のいずれかの回答を避けた。

(朝日新聞 2006年4月5日)


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