瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

心の病抱える社員 半数の企業で「増加」


  財団法人「労務行政研究所」は15日、「社員のメンタルヘルス(心の健康)」
について初めて実施したアンケートの結果を発表した。この3年間でうつ病や心
身症など心の病を抱える社員が「増加している」と答えた企業が52%にのぼっ
た。1カ月以上の休職者がいる企業も50.9%を占めた。一方、相談体制を整
えた企業は約4割、休職後の職場復帰の手順を定めた企業は4分の1にとどま
り、対策の遅れも浮き彫りになった。

  調査期間は今年1〜2月。上場企業など全国3952社を対象に郵送し、276
社の人事・労務担当者から回答を得た。うつ病やノイローゼ、心身症、人格障
害などの精神不調を「メンタルヘルス不全」と定義し、会社に医師の診断書を提
出した在職・休職者の有無などを尋ねた。

  心の病を抱える社員の最近3年間の増減傾向では、「横ばい」と答えた企業
は18.9%、「減少している」は1.8%にとどまった。従業員1千人以上の大企
業に限ると7割が「増加している」と答えた。

  「増加」と答えた企業に、特に目立つ年代を聞いたところ(複数回答)、トップ
は30代で39.6%。次いで20代(27.6%)、40代(18.7%)の順。「年代に
関係なく」も34.3%だった。

  その対策(複数回答)については、「心の健康対策を目的とするカウンセリン
グ」と「電話やメールによる相談窓口の設置」がともに42.4%で最多。病気の
早期発見や円滑な職場復帰に必要な「管理職に対するメンタルヘルス教育」の
実施は39.1%で、1千人以上の企業では6割を超えたが、300人未満では1
割に満たなかった。

 休職後の対応で、配置転換や短時間勤務など働き方に配慮した職場復帰プ
ログラムを設けているのは25.5%。自社の対策に56.9%が「課題がある」と
答え、長時間・過重労働の改善や復職の見極めと復職後の支援体制などを挙
げた。

(朝日新聞 2005年4月15日)


トップへ
トップへ
戻る
戻る