瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

「たばこ規制枠組み条約」発効 日本も4月から規制強化


 喫煙による健康被害の防止を目指す「たばこ規制枠組み条約」が27日発効
した。たばこの消費を減らすため、5年以内の広告の原則全面禁止などを締約
国の義務に盛り込み、課税強化も促している。批准国の日本でも、4月からの
屋外広告禁止や禁煙教育の強化、分煙の徹底などが決まっており、先進国の
なかで遅れていた規制が強化されることになる。

 世界保健機関(WHO)が主導する同条約は、国連本部があるニューヨークの
27日午前0時(日本時間同午後2時)に発効した。

  たばこは、がんや心疾患、早産など様々な病気や異常につながるとされる。
同条約は有害性を明記し、消費削減につながる課税強化、広告・販売促進・ス
ポンサー行為の禁止規定などを盛り込んだ。主要包装面の原則5割以上を健
康警告表示にあてること、たばこ自販機を未成年者が使えないようにすること
も、締約国に義務づける。

  厚生労働省によると、日本の成人全体の02年の喫煙率は24.0%(男43.
3%、女10.2%)。5年間で5ポイント近く下がるなど長期低下傾向だが、高校
3年生の喫煙率(00年)が男子36.9%、女子15.8%に上昇するなど、未成
年者の喫煙が大きな課題。女性の喫煙率も横ばいだ。

  日本は、たばこ価格が先進国中で最低水準のうえ、飲食店や職場での禁煙
が遅れるなど、規制が甘いことが背景にあると指摘される。WHOは課税強化
による値上げは、特に若者層の消費減につながるとみている。

 政府は条約発効を受け、財務、厚生労働、文部科学など14省庁が連携し規
制を強化する。電車・バスへの広告禁止に続き、4月からは屋外広告も禁止さ
れる。7月には「未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの依存を
より強めます」などの警告表示義務も加わり、未成年者を識別する自動販売機
も導入される予定だ。

  規制強化を受け、日本たばこ産業(JT)は、3月末で屋外看板広告を打ち切
り、「マイルドセブン・ルノー」などとして92年から参加してきたF1スポンサーか
らも、06年秋で撤退する。

  需要減少を見込み、従来の25工場を10工場に集約。需要減は、JT製品で
最高価格(350円)の新製品「りん」の投入などで、カバーする戦略だ。

(朝日新聞 2005年2月27日)


トップへ
トップへ
戻る
戻る