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          瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)  
            仕事でアスベスト(石綿)を吸い込んだことが原因でがんになったと認定され た人は03年度で121人と、前年度の1.6倍に急増したことが厚生労働省の まとめでわかった。職業がんの労災認定141人の86%を占めており、石綿に よる健康被害の深刻さが浮き彫りになった。 
            121人の内訳は、肺がんが38人で、がんの一種である中皮腫が83人だっ た。02年度は肺がんが22人、中皮腫が55人だった。 
            石綿は耐火・断熱材として60年代から広く使われたが、その後発がん性が 指摘されて段階的に輸入や使用が禁止され、04年10月に全面禁止となっ た。石綿特有のがんである中皮腫は、吸い込んでから30〜40年たって発症す るとされ、95年は500人だった死者数が、03年には878人に増えている。 
            厚労省職業病認定対策室は「発症者が増えていることに加え、03年に石綿 が原因の疾病に関する認定基準が緩和され、医療機関にパンフレットを配って 周知したことなどもあって患者や医師の認識が高まったことが急増の要因」と 分析している。 
            民間の研究団体「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」代表の名取雄司医師 は「中皮腫は因果関係が明確で認定される可能性が高いので、思い当たる人 は積極的に申請してほしい」と話している。 
          (朝日新聞 2005年01月27日) 
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