瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

たばこがなければ、毎年9万人がん患者減 厚労省研究班


   たばこがなかったら、国内で毎年約48万人発生しているがん患者のうち、約
9万人はがんにならずにすむはず。厚生労働省の研究班(班長・津金昌一郎国
立がんセンター予防研究部部長)が23日、喫煙とがんについての調査報告と
試算結果を発表した。

  研究班は、90年から約10年間、岩手、秋田、長野、沖縄など8県に住む40
〜69歳の男女約9万人を対象に追跡調査した。

  期間中にがんにかかったのは、約5千人。男性で最も多かったのは胃がん
(26.3%)で、次いで肺、結腸、肝臓が続いた。女性では乳がん(17.7%)、
胃、結腸、肺の順に多かった。

  喫煙者のがんの発生率は、これまで吸ったことのない人に比べ、男性で1.
6倍、女性では1.5倍。禁煙している人のがん発生率も、男性は非喫煙者に比
べ1.4倍で、過去の喫煙の影響が見られた。

  発生率は、1日の喫煙本数が多くなるほど高くなり、本数が少なくても長期間
吸っていれば高くなった。

  こうした発生率の差をもとに、日本全体でのがん発生率を計算したところ、男
性ではがん全体の29%にあたる約8万人、女性ではがん全体の4%にあたる
約8千人がたばこが原因でがんにかかったと推定された。

  津金班長は「たばこが原因で死亡した例では肺がんが代表的だが、胃や結
腸、肝臓などさまざまな臓器でがんのリスクを高めていることが裏付けられた。
禁煙後、たばこの影響がなくなるのは10〜20年後。早めの禁煙を」と話してい
る。

(朝日新聞 2004年4月23日)


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