瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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元船員が汽船での仕事から転職して約45年後にがんになったことについ
て、社会保険庁東京社会保険事務局は石綿(アスベスト)の粉じんが舞う環境 で働いていたことが原因として労災認定した。
認定を受けたのは広島市南区宇品海岸1丁目、大手海運会社(本社・東京)
の元社員 Aさん(71)。
Aさんは51年から57年まで、汽船の機関員として、アスベストを含む資材を
使って、ボイラー周辺の補修作業などをしていた。その後、転職したが、02年 に広島市民病院で、肺の表面を覆う膜などにできる「悪性胸膜中皮腫」と診断 された。船員保険に入っていたため昨年11月に社会保険庁に労災申請してい た。
Aさんを支援した市民団体「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」所長の名取
雄司医師は「中皮腫は発症までの時間が長く、60年代から広く使われたアス ベストの被害が今後、海運、自動車関連などで顕在化してくることが予想され る。アスベストは思いがけず遠くまで飛んでいることもあるので、中皮腫やじん 肺の疑いがあれば相談して欲しい」と話している。相談などは同センター(03・ 5627・6007)へ。
(朝日新聞 2004年4月21日)
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