瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

定期健康診断の問診票におけるメンタルヘルス関連項目の解


演題要旨

【目的】職場生活等において、「強い不安やストレスを感じる労働者は6割を超
える」との報告がある(平成14年 労働者健康状況調査)。今回私達は、定期
健康診断の問診票におけるメンタルヘルス関連項目の解析を試みた。

【対象と方法】2002年8月から2003年7月末までの、当工場の定期健康診断受
検者全員(1,057名)を対象とした。うち 男性 1,024名(年齢 38.7±11.8歳)、女
性 33名(年齢 29.3±10.6歳)である。定期健康診断の問診票の自覚症状に関
する質問は19項目ある。うちメンタルヘルスに直接関連する項目は、「何となく
不安」、「夜眠れない」、「イライラする」、「気分が沈んで憂うつ」、「話をするのが
嫌になる」の5項目である。該当する症状があれば、「いつも」または「時々」の
欄にチェックをする。

【結果】定期健康診断における、問診票のメンタルヘルス関連項目を解析した
結果、男性(n=1,024)では 1.メンタルヘルスに関連した自覚症状の記載は、
年齢が若いほど有意(p<0.05)に多かった。2.「イライラする」、「何となく不
安」、「気分が沈んで憂うつ」などの自覚症状の記載は、40歳未満の者に多い
傾向を認めた。3.「夜眠れない」との自覚症状の記載については、30歳未満
の者に多い傾向を認めたが、統計学的な有意差は認められなかった(p=0.
440)。

【結論】定期健康診断の問診票を解析した結果、男性ではメンタルヘルスに関
連した自覚症状の記載は年齢が若いほど多く、産業保健活動上での配慮が必
要と思われた。一方、「夜眠れない」との自覚症状の記載については、年代間
での統計学的な有意差は認められず、交代勤務などの勤務形態との関連等に
ついても検討する必要があると考えられた。

瀧本忠司、大東正明 演題番号102 第43回近畿産業衛生学会(2003/11/
08)


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