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          瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)  
            山陽新幹線の居眠り運転事故で、JR西日本は5日、運転士(33)が重い 「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)だったと発表した。同社は新幹線の運転士約 370人を対象にSASの緊急診断を実施する。国土交通省も同日、睡眠障害の 対策を鉄道各社に求める方針を決めた。 
            SASは、就寝時に呼吸が頻繁に止まる睡眠障害。熟睡できないため、昼間 に強い眠気を催すという。 
            運転士は今月2〜4日、大阪市内の病院に検査入院した。重度の目安とさ れる「睡眠時に1時間40回以上呼吸が止まる」「通常97%程度の血中酸素濃 度が75%以下まで下がる」の2点を満たしたという。主に肥満に起因する「閉 塞(へいそく)性SAS」とみられ、自宅がある広島市内の病院に移って治療を続 ける。 
            SASは「いびきが大きい」などを除けば自覚症状が少なく、本人が気付いて いないことも多い。居眠りをした運転士も過去の定期健康診断では特に問題な かった。 
            JR西日本は緊急対策として、新幹線運転士に自己診断シートを配布し、SA Sの疑いがあれば申告させる。 
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            JR西日本の報告を受け、国交省は5日、全国の鉄道会社に睡眠障害の対 策を求める方針を決めた。扇千景国交相は同日の参院予算委員会で「これま でも睡眠時無呼吸症候群による事故・事例がなかったか再調査する」と述べ、 省内に連絡検討会議を設置したことも明らかにした。 
          (朝日新聞 2003年3月5日) 
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