瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)
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川崎市水道局の男性職員(当時29)が自殺したのは職場でいじめられたこと
が原因だとして、両親が市と元上司3人を相手取り約 1億3000万円の賠償を 求めた訴訟の判決が27日、横浜地裁川崎支部であった。打越康雄裁判長は いじめが自殺の原因と認め、市に2346万円の支払いを命じた。元上司3人に 対する訴えは棄却した。
判決によると、男性は95年5月、市水道局工業用水課に配属された。以前、
男性の父親が、耕作地を貸すよう市から頼まれて断ったことから、当時の上司 が「断られたために工事費が増えた」「課に来なければよかった」と言ったり、職 場旅行でナイフを突き付けたりした。このため、職員は出勤しなくなり、97年3 月に自殺した。
打越裁判長は「いじめを受けたことで、自殺したものと推認される」としたうえ
で、市がいじめの事実を調査し防止する措置をしていれば自殺に至らなかった として、市の安全配慮義務違反を認めた。
市水道局は「いじめはなかったという主張は変わらない。予想外の結果で、
控訴するかは弁護士と相談して決めたい」としている。
過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の岡村親宜弁護士は「職場でのいじ
めによる自殺が裁判で認められたのは国内初ではないか。雇用主はいじめや 嫌がらせのない快適な職場作りに努める責任を負うことが明確になり、意義は 非常に大きい」と話している。
(朝日新聞 2002年6月27日)
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