瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)

健診にみられた耐糖能異常の背景因子に関する検討−喫煙
習慣との関連−

論文要約

 【目的】 私達の職域で、HbA1c≧5.6%の者は男性(16.5%)、女性(6.4%)と
男性に高頻度にみられる。今回、私達は喫煙習慣と BMIや耐糖能異常との関
連を検討した。

 【対象と方法】 定期健康診断の受検者 13,792名(男性11,995名、女性1,797
名、年齢47.0±6.9歳)を対象とし、健診結果と問診票をもとに喫煙状況とBMI、
HbA1c等との関連を検討した。

 【成績】喫煙率は男性で56.4%、女性で16.7%。喫煙者および喫煙中止者で
は「初めから吸わない者」に比べ、HbA1c≧5.6%の頻度が高く1日21本以上の
喫煙者で、より著明(20.7%)であった。喫煙者では、喫煙年数が20年以上の
者でHbA1c≧5.6%の頻度が増加した。喫煙中止者では、禁煙後15年以上経
過した者で、HbA1c≧5.6%の頻度が低下した。

 【結論】糖尿病や耐糖能異常の一次予防のためには、タバコは吸わないこと
が望ましいと考えられた。また喫煙者で禁煙が困難な者では、少なくとも節煙
が望ましいと考えられた。

(瀧本忠司、竹村 芳、高山純一 大阪医学 35: 9-13, 2001)


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