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          瀧本労働衛生コンサルタント事務所(大阪)  
           勤務を始めて51日後に長男(当時21)が死亡したのは過重な仕事が続いた ためだとして、大阪府枚方市の廣瀬みどりさん(54)が申請した労災認定につ いて、厚労省の大阪労働者災害補償保険審査官は「過労死」と認め、遺族補 償給付金の支給を決めた。天満労働基準監督署(大阪市北区)が一昨年に不 支給を決めたため、みどりさんが審査を求めていた。 
           「大阪過労死問題連絡会」事務局長の岩城穣弁護士によると、「過労死」認 定の中で、勤務日数が最も短いケースになるという。 
           8日付の審査官の決定書などによると、長男勝(まさる)さんは96年4月22 日、中古車情報誌製作会社の支店(北区)に採用され、アルバイトとして記事を 書いたり写真を撮ったりする誌面製作の仕事をしていた。勤務時間はほぼ連日 10時間を超え、多い日は17時間半だった。締め切り間際の6月12日は午前3 時すぎまで仕事をして帰宅し、同日朝、母親が寝床で死亡しているのを見つけ た。 
           審査官は、死亡前1カ月間の時間外労働が計93時間を超えている▽深夜残 業など勤務が不規則だった▽締め切り前後は特に緊張感が増した−−と指摘 し、「長期間にわたって著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務だった」と 認めた。 
           みどりさんは29日、大阪市内で記者会見し、「勝が家で『しんどい』と繰り返 すので会社をやめなさいと言った。過労死だと認めてもらえてうれしい」と話し た。近く、会社に損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こすという。 
          (朝日新聞 2002年5月30日) 
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