WEB詩集『昭和の森の子どもたち』





   「闇の中の笛声」



出現した青い炎は

会ったばかりの私たちの

つたない愛撫にも似て

ただの少しも隔たった距離を埋めないばかりか

時を選ばず夜の静寂に彷徨い出る

からっぽの心が

らせんの哀しい裸形をランプの下に絡み合わせ
 


とめどなくあふれた涙は

きのうまでの川の源流をながれ

めしいた羊の背中にまたがる心許なさに変わりはないのだが

きょうから目指す場所は

まっすぐつながった一本の道の果てにあるのだと

しのびやかに聞こえてくる笛の音は

ただあなたを信じろと、遙かな響きで告げている



















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