WEB詩集『昭和の森の子どもたち』


 「ルビーの赤  in 2003」




血の色に似ている果実の

味わいに似て甘くとぎれがちの鵺(ぬえ)の叫び

夜は間断なく朝を経て昼を通り抜けまた夜へとつながるように

命の融合の意味を知りたいと 瞳を見開いたまま

私を見つめる ゆら 揺れる 貴方を ゆら 見あげている

接合点から熱い還流のように間断なく放射される

ルビーの色の電磁波は二つの魂を染め上げ

今この瞬間の+と−の電極が

どんな深海の生物に似ているのか

私は知らない





ルビーの赤になる

地球の自転からはみ出した光彩は

唇に含んだちいさな果実のようにぷつんと弾けながら

このまま貴方の一部になってしまえればいい



「僕だけのサイボーグ」と愛でられながら

見えない送電線に緊縛され続ける

今宵もまた月が沈むのが畏(こわ)い

ピジョン・ブラッドの深紅(あか)い閃光











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