WEB詩集『昭和の森の子どもたち』








ただ移ろうことだけしか知らぬ都市の片隅で

こうして 穴蔵のような 廃墟のような 電映巣窟に

埋没しつつ

眺めているのは 赤提灯のゆらぎf/1 ポッカリ

なぜかフリードリンクのサーバの後ろから

ちりちりとコオロギの声 ダッタリ



モニタに向かう私の隣で

午前1時の日没がパッションフルーツのようにさんざめく

それは 昭和初期の野球漫画だったり

見忘れた 黒沢映画だったり

もう存在しないゲーム会社の過去の名作だったり


ただ移ろうことだけしか知らぬ迷路の街角で

こうして 穴蔵のような 廃墟のような 電映巣窟にて

膝を抱えながら

七色幻想の発信基地たる電柱を 

電脳真空地帯の原野に

真一文字に林立させる という 夢を みた








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