WEB詩集『昭和の森の子どもたち』







 「クラインの壷で汲み取った‥‥」






  愛と憎しみはクラインの壷でひとつに混ざり合い

  乳白色の液体に変わる

  現在過去未来永遠無限瞬間刹那

  至近距離の地の果てで

  誓い合ったあなたとの愛

  未来永劫の不渡り手形でありながらにして

  紡がれた詩句は不朽の光彩をまとい

  砕け落ちるオーロラのようにこの地上に降り注ぐ



  稀釈された普遍の形而上学は

  長身痩躯がご自慢の3Dアニメばりの美女の妖艶さで

  琥珀色の子供たちを困惑させるモデルガンたり得るのだが

  ひとたびクラインの壷を通り抜ければ

  それは所詮アップルタイザーよりも低刺激の健康飲料

  詩神たちの蜜色の肌を洗う今夜の入浴水には適さない










  探しているのは銀河の聖水

  乳白色のリープ・フラウ・ミルヒ

  クラインの壷からこぼれることなく

  汲み取られ瑠璃ガラスのバスタブに注がれ落ちる無限水

  はじける真美清浄艶夢結晶芳純浸透作用

  蜜色の肌を潤し

  漆黒の髪を洗うために



  現在過去未来永遠無限瞬間刹那

  裏切りながら愛し抜く

  卑怯で愛しいあなたのために

  今夜の肌を磨きます

  クラインの壷で汲み取った

  甘い香りの無限水

  口づさむ星巡りの恋のメロデイ

  不可侵のイマージュ第五次元旋律空間の創造  

  これはきっと誰にも壊すことのできない幸福










★クラインの壺で汲んだ温水。仮想空間での、今夜の沐浴はいとしいあなたのために。





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