WEB詩集『昭和の森の子どもたち』

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  「大黄河を行く一艘の丸木船」









 啼かないで

 夜の翼

 噛まないで

 仕組まれた理想像



 言祝いではいけない

 それはやさしい毒薬

 言霊ではありはしない

 それはぬかるみの中の舟唄



 それでも

 全部を奪い去ってしまうなんてこと

 運命の神様は決してしない









 もし

 君が今

 何かをなくしたのが

 本当であるなら



 いつか必ず別なカタチで還ってくるよ

 未来のいつの日にか



 愛している

 君の その不揃いな螺旋を

 いつも見つめている

 君の その朽そうで朽ちない

 誇りかな作業手順書を



 泥土の中では

 歩くより丸太に掴まって流される方が

 速いのかもしれない

 それでも

 君はその流れを翻弄されながらながれて行き

 私は遠く河岸から眺めていることしかできない









 啼かないで

 闇にすむ小鬼達

 屠らないで

 飢えた齧歯類



 この人は

 これからもまだ

 遠い河口を

 そのさきの大洋をめざし続けるのだから









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