「永遠を撃ち抜く薔薇色のピストル」
思い出の後ろ姿を追い続けるあなたが
青ざめたトウスミトンボより哀しくて
積乱雲のように
とめどなく湧いてくる追憶のシーンは
当事者のあなたよりも
傍聴人の感受性を窒息死させるのだと
泣き狂いながら壊れていきそうな「現在」の時間に
少しあなたはうろたえた
6月の海は無口な横顔
空一面にかかる灰色の雲は、
あなたが「永遠」にこだわりつづけることで色彩を失い
掌からこぼれ落ちていく「現在」のやわらかいきらめきの数々を
すっぽりと覆い隠して沈黙する
そう、まるでヴィーナスの含み笑いのように
涙の小壜をすっかりからっぽにしたあと
海岸通りに車を留めて
キスをしていたら空は晴れてきた
モザイクの瞳を撃ち砕け
33口径の小銃で
きらびやかな音を立てて砕け散った氷片の中から
たちのぼる薔薇色の陽炎こそが明日に咲く花びら
ガラスの鍵盤を射抜いて
微塵にこなごなに
ステンドグラス越しに見ていた太陽が偽物だったことを
あなたに教えてあげるわ
今宵
月の光は
どんな祝祭歌を歌うかしら
☆各画像、ロールオーバー効果付きです。JAVAスクリプトを onにしてご覧ください。
☆なお、静かに文字を追いたい方のために、音無ヴァージョンはこちら