「二つの月 The Two moon junction」
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君の頭上には
まあるい黄色い二つの月が見えているはずだ
君の思考が混濁しているからではない
これは一つの臨界点がもたらした極限状況なのだ
もちろん一つは幻影だ
おぼろにかかった霧に投影された魔性の罠だ
君の持つ手紙にはこう書いてあるはずだ
「二つの道が楡の木の根元で別れるとき
月の昇り来る方角へとまっすぐに進め」
だから君は途方にくれている
道はどちらを選んでも死には至らない
一つを選べば記憶を少し失う代わりに怠惰な享楽が待っている
一つを選べば試練を少し伴う代わりに知識の悦楽が待っている
だが、一度進んでしまえば
後戻りはできない
二つの月が君を誘う
だが、ここで夜明かしなどすると
本当に魔物に取り込まれてしまう
さあ、時は満ちた
あとは君の選んだ道を進むだけだ
ときどき季節の変わり目には
こんな悪戯な出来事があるのだ
それは、
君が運命に試される瞬間かもしれない
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