「夜」

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 森の薫りが吸いたいと

 小さなこどものようにさめざめと泣いたら

 夜半の月よりも青く

 時計の文字盤は廻り出した

 パジャマのボタンは

 きちんとかけて眠りましょう



 雛鳥の翼は

 震える綿毛に覆われて

 まだ冬の何たるかを知らない

 母鳥の嘴は

 乾いて少しひび割れて

 冬の後に来る春を次第に忘れかけていく



 森に抱かれてひざを抱えて眠る夜は

 騒音も空気汚染も死に絶えた

 限りなく無に近い永遠



 ただ森の暖かさに顔を埋めて眠る
 
 ちいさな雛鳥になる

 そんな 夜







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