「森の密度」

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最初は一本の木が風に向かって立っていた

やがて新しい木が寄り添い

物語は始まった



森の命は木々に守られ

木々は森にあってこそ安らかでいられる



人々が畏れるのは

森の放つ暗闇

木々の持つあやかしの薫り



けれど、

森を縫って木立の中の迷路をくぐる時間の翳りこそが

一つの尽きることない有機的遊戯への誘いなのだ

今はただ、純粋にそのすべてを慈しみ抱きしめたい

木々の持つまだ柔らかい年輪の痕跡も

共に息づく可憐な花の香りも



そして木々は今日も果てしなく空をめざす

森はさらに広がり密度を増していく



空を取り込んだ分だけ闇が深くなる

闇を取り込んだ分だけ謎と溶け合い蟲惑を呼ぶ

枝と枝は絡み合い一つの生命を織りなす

花々の毒を呑み込んだまま

蒼ざめた闇をその内に秘めたまま




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