「いたみ」
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尖肺を錐で突くような痛みを抱えながら
私は何度住まいを移してきたのだろう
過去から現在まで
居住地を変えながら
私自身の実存のアドレスは地理上の歴史上の物質学上の
どんな場所にいたのだろう
電車にゆられながら
私はどこからどこへ向かっているのだろう
目を閉じて再び開くまでの思考停止期間を眠りというならば
いままで眠ることなく生き
さ迷いつづけてきたのかもしれない深い迷路の底に
光る石のかけらをみつけたそこにはおそらく答えが刻まれている
ああ、手が届かない
せいいっぱい身を伸ばしても触れることのない岩石の隙間に
燦然と輝きながら未来の鍵はほほえむ
いたい、イタイ、いたい
今日も左肩を押さえながら眠りにつく
目覚めたら違う場所にいることを祈りながら
イタイ・・・
「はい終着駅です」
私はその声に向かって早足で進み、小走りになり、やがて駆け出し
ああもう旅はおしまいね
ここはふるさとなのだから
と、
そんな夢を見ながら眠ることができるようになった私は
たぶん淋しさを知ったのだと思う
しあわせの温度を知ったのと同じくらいに
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