【コピーってどういうこと】

更新日 1997年3月16日


Windows 上で動かすプログラムは、何らかのデータを編集する機能を持っている限り、必ずと言っていいほど編集というメニューがあって、そこには「切り取り」、「コピー」、「貼り付け」があります。ではこのコピーとは一体どういうものなのか、よく理解しておく必要があります。

そもそも、単に「コピー」とだけ記述するから分かりにくくしているので、ちょっと補足して「クリップボードへコピー」と表現しましょう。数年前の Windows プログラムなら殆ど、ちゃんとメニューにはそう記述されていました。今でもメニューにそう記述しているプログラムがあれば、結構親切なプログラムかも知れませんよ。ようするにコピーとは、クリップボードへコピーすることなんです。
 

Windows の設計方針として、同時に複数のプログラムを動くようにすること、そしてそれら複数のプログラムは、相互に情報の受け渡しができるようにすること。そんな目標があります。簡単な例を上げると、一太郎とWordの両方のワープロソフトを起動していた場合、一太郎で書いた内容をWordに持っていったり、Wordで書いた内容を一太郎に持ってきたりできるということです。

お互いに全く違うプログラムなのに、どうしてそんなことができるんでしょう。全く違う会社が作った、全く別のプログラムが情報を融通し合うのは、MS−DOS全盛期には大変なことでした。それは、同時に複数のプログラムが動かないのが当たり前で、誰か(別のプログラム)に情報を提供することなど、さほど考える必要もなかったのです。でも、Windows ではちょっと違います。一度書いた文章を、ワープロソフトが違うからと言って、もう一度同じ内容を書きたくはないから、コピーして使えるようにしちゃえ!!と考えたのです。

それを実現するために考え出されたのがクリップボードです。クリップボードは、誰も(色々なプログラム)が共通に利用できるデータの入れ物です。この入れ物は一太郎が持っている訳でもなく、Wordが持っている訳でもありません。Windows が持っているんです。持っていると言うよりも、Windows が用意して提供しているんです。それも1個しかありません。ここが重要な点で、1個しかないからこそ、使い易くて無意識に利用できます。これが複数あったら便利だと思えるのは、多分 Windows を数年間使い込んで、かなり熟練してからでしょう。それでも、1個で十分に活躍してくれるし、さほど不満は感じないことでしょう。
 

切り取りについても若干補足すると、クリップボードにコピーして、なおかつ現在注目している内容を切り取って取り除くということです。貼り付けは、クリップボードに収納されている内容を現在注目している位置に複写して貼り付けることです。省略して短く表現されているだけで、理解してしまえばこれで十分ですね。
 

クリップボードはかなりのお利口さんです。早い話が何でもしまってくれます。Windows 上で扱える情報なら、何でも収納してくれると思って差し支えありません。いくつか例を上げてみましょう。

  1. テキスト(文書全般/修飾情報も含めて)
  2. 画像(保存形式に関わらず)
  3. 音楽
  4. 動画
  5. 表計算ソフトの表
  6. 表計算ソフトのグラフ
  7. ファイル名
  8. フォルダの構造

こんなにも色々な情報を、たった1個の入れ物が全てカバーしています。但しクリップボードはたった1個ですから、何かを入れたら、それ以前から既に入っていた内容は消えてしまいます。
 

たった1個の入れ物ですから、次に何かが入ってくるまでは、直前に入れた内容を記憶しています。勿論永久にではありませんよ。Windows を終了するとクリップボードの中身は消えます。裏を返せば、一度入れた内容は、Windows を終了するまで記憶しててくれるのです。だから、同時に複数のプログラムを動かさなくても、記憶させるのに利用したプログラムを終了し、別のプログラムを起動してから貼り付けることもできます。貼り付けで注意が必要なことは、そのプログラムがクリップボードにある情報を扱えるかどうかで、扱えなければ貼り付けることはできません。全部じゃなくても一部扱えれば、その分だけ貼り付けされることもあります。<例>(Wordで書いて修飾された文章をコピーし、メモ帳で貼り付ける)