夏の風物詩花火。

私の育った町、小さな町だが平和ですばらしい町だった。
たまに汚職事件でテレビに出てたが。
そのような町、そのような夏祭りの場での思い出だ。
ご他聞にもれず、私が育った町でも夏祭りというものがあった。
やはりどこも同じで自治会が夏祭りには花火を用意するのだ。
そして祭りもクライマックスが近づくそのときに花火があがるのだ。
毎年私はこの夏祭りを楽しみにしていた。
出店のお菓子がとても好きだった。ゲームの出店もとても楽しかった。
そして夜、祭りもクライマックスに近づいてきた。
と、その時「パーンッ」という大きな音がした。
花火があがり出したのだ。
庭に茣蓙を敷き枝豆を啄ばみビールをあおりながら眺める者。
窓から身を乗り出してさかんに拍手を贈る者。
それぞれがそれぞれの楽しみ方を満喫する瞬間だった。
黒い夜空に広がる大輪の花。
みなに感動を呼んでいた。
そんなおり、私は泣いていた。
花火の音が大きすぎて怖かったのだ。
一人泣いていた。
でも、絵日記には泣いたとは一言も書かなかった。
すごく大きくて、将来あんな凄い人になりたいと書いた。
そんな、強がりな小学一年の夏休み。



トップへ 本音トップへ 一つ前へ戻る