『フェドウィルの道』 第3巻


アガランの冒険者であるフェドウィルとクラースによって初めて発見された洞窟群は、グレイシャーンのすぐ北にある氷の洞窟から、グリーン山脈の麓にある暗い大森林まで広がり、一部では極北の荒野にまで達している。
この道をたどる旅人は、数々の巨大な地下滝や、地下断層に露出した光り輝く水晶や、アランナでは最大規模の温水の噴出などを楽しむことができる。

ゆるく滑りやすい足場や狭い通路に加えて、このルートを行く旅人にとって最大の難関となるのは、洞窟を棲みかとする無数の魔物たちであろう。
かつてはフェドウィルの道に並行して走る山麓の道にはびこっていた、きわめて縄張り意識の強いトロッグもその1種だ。

第10部隊は、トロッグの脅威を一掃して鉱山の洞窟を経由する安全な通商ルートを確保するため、繰り返し軍事作戦を展開したが、トロッグを根絶することはかなわずむしろ隠れ住んでいたそのほかの様々な魔物の数を増やす結果となった。
生き残ったトロッグはかなり温和だが、それでも2匹以上の群れに遭遇した場合は相変わらず危険な魔物であることに変わりは無い。

洞窟内の安全を維持するため、グレイシャーンから派遣され分隊による定期的な巡視が行われてはいるものの、この巡視も余裕のある平時のみで、戦時となれば巡視兵は撤退し、多くの土着の魔物たちがまた舞い戻ってくるのだった。
こうした土着の魔物たちの中には、いたずら好きなランガーや、そのほか様々な色や形や大きさの、水晶のように透明な体を持つ魔物たちも報告されている。


戻る