『フェドウィルの道』 第1巻


後にフェドウィルの道と総称されるようになったさまざまな自然の脅威が、アガランの著名な地図作成者であるフェドウィルとクラースによってはじめて記録に残されたのは、帝国商人や第10部隊がまだこの地に足を踏み入れてない5世紀のことである。
2人は網の目のように広がるこの自然洞窟を「狭苦しく、悪臭の漂う、実に汚らわしい穴の連なり」と描写し、グリーン山脈を越えるための唯一の道であると日記に記した。

フロストスパイア山がグリーン山脈にぶつかる地点であり、延々と続く鉱石岩の間を縫うようにして続くこのフェドウィルの道は、人1人がやっと通り抜けられる程度の岩の裂け目から、「ドラゴンの子らが勢ぞろいして翼を広げられるほどの広さ」の洞窟に至るまで、実にさまざまな地勢を見せている。

露出している岩盤から削り取った発光石で目印を付けながら進んだ2人の探検家の記録は、後に帝国商人や第10部隊をエッブの奥地まで導くこととなる。
今日に至るまで、鉱物の豊富な宝石採掘場や足元の滑りやすい高原の洞窟、そして燐光がきらめく地下水脈は、フロストスパイア山とグリーン山脈の間を往来する旅人にとって主要経路であり続けている。

8世紀の採掘調査で鉄の存在が明らかになると、帝国商人はドルーグに対し、この地における利権をそれまで以上に強硬な態度で要求するようになっていた。
後には金と石炭も発見され、初期の王国はこれによって急速に発展していった。
また、フロストスパイア山中にはシャフトが次々と作られ、危険な山の内部が補強されていった。


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