036:『きょうだい』 京大に行きたい、と弟が言い出したのはいつ頃だったか。 「何事も相手にするなら強大な方がいいって言ったの誰よ?」 そう言って愛嬌のある顔をくしゃりと崩した僕の弟は、兄である僕の目から見ても頑張って受験勉強に励んでいた。直前の模擬試験では合格圏には少し届かないかもしれない、という所までは持ってきている。そして今日がセンター試験だ。 ぱん、と鏡台の前で弟は頬をひとつ叩いた。 「よし、行って来る!」 鞄をつかみあげ、弟は玄関へ早足に歩く。 「頑張れ、兄弟」 励ますと弟は履き終わったコインローファーの爪先をこん、と三和土にぶつけて僕を見上げた。 「できれば下が妹の方の兄妹って呼んで欲しいな、兄さん」 丸い目に白い肌、ほのかに色のついた唇がかわいらしい。 「……生物学的には弟で合っているはずだがな」 受験場にスカートを穿いて行く気かと随分気を揉んだ。 「馬鹿言ってないで早く行け」 それでも僕にとってはただひとりの弟、なのだ。 「気をつけろよ」 見送る僕に、弟は笑って手を振った。 −−−−−−−−−
ご め ん な さ い。(平身低頭) 『036:きょうだい(変換自由)』と読んだ瞬間頭に思い浮かんでしまったネタがこれだったもので他のが思い浮かばず。反則は承知の上で見逃していただければ嬉しいです。 変換自由のきょうだいの内訳は兄弟京大強大鏡台兄妹です。(03/02/15) Pro.100txt. |