(121)プロヴァンスの雰囲気


             

「今年の夏は、やけに笛の音が聞こえるな」1980年セグレ村滞在時の印象。ターラ・
  ターラ、ピッコロの単調な繰り返しの曲を数人の楽士が演奏、ラグマニヤ家のテラスから
  聞 こえる。 客寄せの音楽、夏期だけ喫茶を開いているらしい。一般的にプロヴァンスの
  雰囲 気は、素朴と言う言葉が当てはまる。衣装・工芸・料理・音楽・楽器・歌等、今に伝
   わる 物はどことなく土の匂いを感じさせる物が多い。普段は、現代の洋服で過ごす人達も
  夏の ワイン祭りやクリスマス時にプロヴァンスの衣装を着て、昔を懐かしむ。料理も野菜
  を煮 込んだスープ系が多い。村で料理人として評判のマダム・シアスの家からは、いつも
  おふ くろの味が漂って来る。器は、黄色地に昆虫や花柄のあしらった物、貝殻模様の布地
  も特 産品だ。言葉もプロヴァンス訛があるらしいが、その違いは聞きととれない。私を含
  多めてくの人間がこのプロヴァンスに魅せられてやってくる。今日も又ミストラルの歓迎
  に出会 った。
 

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