「出火原因は不明さ、それにしても昨年の山火事は、恐怖だったよ」友人のアンドレ・フ
ロニエが大きく手を広げて話す。「村のすぐ後まで迫って来たからね」「ミストラルは吹
いてた?」「運悪くビュンビュンさ」山火事の恐怖は、茶色に変色した山肌を見ただけで
も 想像出来る。ひどいもんだ。「ところでトシオ、今年の冬のために木を切りに行くんだ
けど一緒にどうだい」「それはありがたい、わが家の暖炉もちょうど薪が無くなってしま
っ たんだ」山火事の発生を食い止めるため、役場が山の間木の伐採を許可、皆それを暖炉
に 利用する。「5m検討で、木を残していくからね」「わかった」6月早朝まだ木の葉が
生い茂る前を見計らって出発。運搬出来そう手頃な木を選別しながら、伐採、枝とり、3
m程に更に細かく切ってトラックに積み込む。一旦庭で乾燥させた後60センチ程に細か
く切って地下室に収納。昔から冬の温もりのために行なわれている作業だ。