絵の具で模様の描かれた白い布が、村の通りにジグザグに張られている。「やあ、ジル又
お祭りが近づいたね」「そうさ、これがないと夏が終わらないよ」「仮装パーティーもや
るのかい」「勿論」「今年の出し物は、特別おもしろいぜ」陶芸家のジル達が企画してフ
ランス全土から仲間を集め、毎年8月末セグレの村で陶器市が開かれる。日本のように茶
碗に皿と言った生活風習がないからか、実に様々な色形の器や彫塑が並べられる。普段は
穴蔵で誰も使ってない場所もライトアップされ、彫刻のギャラリーに変わる。その雰囲気
が異様で新鮮だ。色々な表情の猫の素焼きが、木の上、篭の中、椅子の上、歩道に並ぶ。
プラタナス広場には、多くの器の出店がある。手捻り、ろくろ作り、うどんを編み込んだ
ようなメッシュ器、各種各様でおもしろい。考えれば色形はあるもんだ、違って当り前の
世界を目前にして、絵の発想もこうでなくっちゃ、創造が命と、大いに発奮する。