
14. 徒然に 竹内孝忠
10月28日 a,m10時43分 おそらくは私にとって,人生の最良の日となることであろうが 長女誕生,とにかくうれしくてうれしくて ほほの筋肉がたるんで来て,いやはやなんともしまらない話である。大学在学中に子供ができるなんて 自慢して良いものか 自分の早熟ぶりを 嘆いたら良いものかは 将来ゆっくりと考えるとして まずは同輩のために 命名の苦労話でも将来の参考にと 走りもしない筆を取ることにしましょう。
私は愛娘に「あかり」と名付けました。友と言うものはうれしいものですね。皆我が子の様に考えてくれました。川村君にいたっては 私があかりと決めて 出生届を出した後でも「静」(しづか)ちゃん 静ちゃんとどうしても「あかり」を 認めてはくれません。きっともの静かな私の子だから「静ちゃん」と固執するのでしょう!!
最初,家族全員が24画なところから 娘も24画にと思いあれこれ考えたのですが――そう静にすると 丁度24画になるのです――私のイメージに合う名前が無くこまりはて,名付け方の本を買ったのです。
こう書いてありました。
よい名でなくではならぬ。「よい」には3通り有って「善い」良い」「好い」がある。「善い」は 名付け親の心,「良い」は名のもつ意味,「好い」は 好まれる名と言うことだった様に記憶してますが なかなか3つそろった名は無いものです。そこで少なくとも「善い」と「良い」はと思い考えたのです。前者の善いは この甘い誠実な親がつけるのですから 問題ないとしても「良い」の方です。何日も考えましたが結局は前述の「あかり」に落ち着きました。
ほとんどの人が珍しい名だと言います。おかしな名だとさえ 言う人がいます。でもきっと ききなれないからだろうと 思うのです。
女の子は賢いことよりも まず可愛いことが大事だと,又 温かい優しい心を持って欲しいと言うことから 考えたのです。
太陽が男の子の象徴であれば――それはまさしく雄々しく激しい光です――日没後の私達を照らし出す「明り」は 月とともに やわらかな温かい女性の姿です。人里離れた山中で迷った人が散々さまよったあげく やっとぽつんと光る ひとつの明りを見出した時その人はどれほどの 安らぎを感じることでしょうか。
人に安らぎを与える 温かい優しい心の持ち主にと「あかり」と名付けた次第です。
結局は「好い名」にもなったと思っています。
きっと将来 喜んでパパのホッペにキスをしてくれることでしょう。
同じ日に 私の祖母が天国へ羽ばたきましたが 誕生を待っていてくれた祖母のためにも 良い子に育てたいと願っています。
早く筆をおかないと ほほの筋肉がなくなってしまいそうで,
何はともあれ うれしいものです。