私が購入した2台目のマシンがX68000 ACE HDです。
1987年、シャープからおもしろいマシンが発売になりました。CPUとしてモトローラ MC68000のCMOS版セカンドソース品であるHD68C000を搭載した、完全にホビーユースを前提に作られたマシン、X68000です。
当時68000をCPUにしたパソコンはアンリツから1機種出ていましたが、コンシューマー・マシンとしては当時高嶺の花だったAppleのMacintoshだけだったと記憶しています。
そのころの日本のパソコン事情は日本電気のPC-9801シリーズ一色で、8ビット機ではモトローラのCPUを使っていた富士通も16ビット機ではi80286+MS-DOSだったので、異色中の異色のマシンだったのです。
そのX68000の発売から1年、一部の仕様変更と価格変更が行われ、発売されたのがX68000 ACE HDです。そのころの私は、CPUといえばモトローラ系だったわけで、ちょうど就職して自由に使えるお金もできた時期だったので、これしかない!というわけで購入しました。
HDの名の通り、私が買ったのは20Mバイトのハードディスク内蔵モデルです。そのころは40Mバイトのハードディスクが20万円ぐらいで販売されていましたが、このモデルはハードディスクなしのモデルより10万円ほど高かったはずです。
主な特徴は以下のようなものです。
- CPUに68000を採用
- グラフィック機能が充実しており、65536色同時表示可能
- FM音源8音に加え、ACPCMによるPCM音源(ステレオ)を搭載
他社のマシンスペックと比べてみると、マシンの企画段階から、ホビーユースのパソコンのハードウエアはどうあるべきかをかなりまじめに考えて作ってあるような気がします。
当時の他社のマシンは、生産コストを低く抑えることとCPUの処理速度を上げることだけを考えた、どちらかというとメーカー側の都合だけでハードの設計がされているようなところがありますから...
X68000ユーザーはパワーユーザーが多く、さらに、このマシン用のメーカー純正のCコンパイラが約30000円(MS-DOS上のCコンパイラはどれも10万円を越える高価なものでした)という安い値段で供給されていたため、Nifty Serveのシャープ・フォーラムにはX68000用の優れたフリーソフトがたくさんありました。
特に、GNUプロジェクトによるunix上の代表的なツール、GNU EmacsやGNU Cコンパイラなどが数多く移植され、X68000の発展機種であるX68030ではBSD unixが移植されました。
しかし、IBM互換機が安く手に入るようになったことからX68000からIBM互換機に乗り換えるユーザーが増え、ライバル機だったFM-TOWNSが学校関係にビジネスの場を見いだしたのとは対照的に市場から消えていったような気がします。
X68000 ACE HD CPU HD68C000 10MHz メモリー RAM 2Mバイト(ユーザーエリア1Mバイト) 外部記憶 ハードディスク 20Mバイト内蔵 フロッピー 1.2Mバイト5.25インチフロッピードライブX2 グラフィック 786X512ドット65536色同時発色 スプライト機能 サウンド FM音源8音、ADPCMステレオ その他 アタリ社仕様ジョウスティックインタフェース OSその他 Human68k、SX-Window、 OS-9/68000 Level1 [戻る]