私が学生時代に初めて購入したマシンが、富士通 FM-77L2でした。
当時富士通では、同社初の8ビットパソコン「Fujitsu Micro 8」を発売後、ホビーユースを狙ったFM-7、そして8ビットでビジネスユースを狙った高性能機FM-11を発売、1歩先を進んでいた日本電気のPC-8001、PC-8801シリーズとのシェア争いをしていました。
富士通の8ビットパソコン共通の特徴は、以下のようなものでした。
- CPUとして、モトローラMC6809を使用
当時のパソコンのCPUは、ザイログのZ80が一般的でした。Z80はインテルのi8080をルーツとするCPUで、どちらかといえばコントローラ用途として使われることの多いCPUです。
それに対し、MC6809はDECのPDP-11のアーキテクチャを参考に設計されており、ミニコン、大型計算機の流れをくんだ洗練されたアーキテクチャを持っています。
MC6809を使った他社のパソコンとしては日立のS1などがありました。しかし日立のS1は、一部の人間には「究極の8ビットパソコン」と言われていたものの、発売されたのがビジネス機が16ビットマシンに移行し始めていた時期でもあり、商業的には成功しませんでした。商業的に成功したのはFM-7シリーズ、FM-77シリーズだけだったと思います。
当時は高級言語を使ったプログラミングが今ほど一般的ではなく、アセンブラレベルでプログラムを記述する機会が多かったのですが、このMC6809のアーキテクチャはプログラムが書きやすくて好きでした。
- サブシステム
当時の富士通の8ビットマシンは、メインシステム、サブシステムそれぞれにCPUを持ち、通常処理はメインシステムが、画像描画、入出力関係はサブシステムが受け持つというデュアルCPUアーキテクチャでした。
メインシステムとサブシステムのインタフェースのために、メインCPU、サブCPUの両方から見える、共有RAMと呼ばれる128バイトのメモリー領域を介して、情報をやりとりをする構造になっています。
ただ、このアーキテクチャは、VRAMやI/O関係をメインCPUから直接制御することができない、という欠点を持っています。
FM-7のローコストモデルであるFM-NEW7の次機種として発売されたのが、あのタモリをコマーシャル・キャラクタとして使用したFM-77でした。そして、そのFM-77にFM-7では別売オプションだったFM音源カードを内蔵させたモデルがFM-77L2だったのです。
FM-77シリーズには、以下の特色がありました。
- 富士通のホビーユースマシンとしては初めて本体とキーボードを分離
- 富士通のホビーユースマシンとしては初めてフロッピードライブを本体内に内蔵
- 本体内蔵フロッピードライブを、当時としては珍しい3.5インチとした
- ソフトウエアはFM-7シリーズと機械語レベルでコンパチブル
- グラフィック描画速度が対FM-NEW7比で2倍
基本的なアーキテクチャはFM-7、FM-NEW7と同じでしたが、CPUが日立製のセカンド・ソース品、さらに外部クロック同期動作可能なHD68B09Eに変更になっています。
富士通の8ビット機はその後、このFM-77L2の流れを汲んだFM-77AV、FM-77AV20/40と発展していきます。
FMユーザーの間では、FM-77AV40の次は同じモトローラのMC68000系CPUを使ったマシンへの進化を期待する声が多かったのですが、富士通からの回答はi80386を採用したFM-TOWNSだったのです。
FM-77L2 CPU メインCPU HD68B09E 2MHz サブシステム HD68B09E 2MHz メモリー モード1 BASIC ROM 32kバイト RAM 32kバイト モード2 RAM 64kバイト VRAM 48kバイト 外部記憶 320kバイト3.5インチフロッピードライブX2 グラフィック 640X200ドット 8色カラー サウンド FM音源3音、PSG音源3音、SSG音源3音 その他 アタリ社仕様ジョイスティックインタフェース OSその他 F-BASIC3.0、OS-9 Level1 [戻る]