オルフェ
雑誌ラティーナ9月号にいいレポートあり。できたら「黒い」をみてからみることをおすすめ、だけど、見事に別物。
カルロス・ヂエゲス監督構想20年はダテではない。「黒い」にリベンジできた、こちらこそが本家だぜ、の意気込み。
オルフェ役のトニ・ガフィートがいい感じ。カリオカの丘の描写は見事。敵役(?)のルシーニョに涙。カーニバルのシーンも見事。ブラジル音楽好きならサントラはおすすめ。

Salsa!
ジョイス・シャルマン・ブニュエル監督。泣き笑い踊り音楽てんこもりの(私には)お値打ちモノ。ダンスものの女性監督映画って、どうしてこんなにいいんだろ?
実はルベーン・ゴンザレスをおじいさん役に使おうとしたらしい。実現していたらますます感涙モノだったろうな。
話のスジはカンタンで、クラシックピアノの優等生がキューバ音楽にハマっていくうちに、ダンス好きのスクエアな女の子とあって、いろいろあって、ハッピーエンド。
映画を見終わったら、かなりの確率でサントラがほしくなります。映画とはアレンジが違うのが少しブーイングだけど、こちらもお値打ち。
私は映画をみた翌日「ミ・ムシカ&トゥ・ムシカ」と「心にソンを」かけっぱなしにしました。

Dance with me
ランダ・ヘインズ監督。監督自身がラテンにハマってつくっただけあって、非常に見ごたえのある、たのしいダンス映画になっていると思う。
社交ダンスの「ラテン」なのがナンだけど、主役のチャヤンがサンチャゴ・デ・クーバ出身という設定になっていて、キューバン・サルサもしっかりみられてうれしい。
話のはこびも、「さすがランダ、細部までみせてくれるよなーっ」。堪能いたしました。普通のドラマとしてもよくできている。
サントラも一緒にかりてきいたけど、これは映画の中でかかってこそ、と私は思った。

TANGO(96・スペイン)
濃ゆい赤ワインを用意してから何度でもじっくりみたいダンス映画。いろんなゴンビネーションの見事なタンゴをいい映像でみせまくってくれる。
前半はユルい踊りしかなくて心配になるけど中盤からスゴいのが続々でてくるので安心。軍政の横暴もかききっていて、非常に切ないけど、アルゼンチンの濃さを十分堪能できる。
それにしても、冒頭に流れる歌、要するに「逃げた魚は大きくみえる」ってだけじゃん。失礼な。ホレてもいなかった女に愛想つかされてにげられてから泣き言いうんじゃないよっ。
サントラもでていて、これはタンゴファンならかなり楽しめる、と思う。

ライフ・イズ・ビューティフル(98・イタリア)

ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演映画。音楽ニコラ・ビオヴァーニ。参りました。コメディアンが本気だしたらこれ位のものができてしまうのね。
ケナゲで聡明で饒舌なグイドはすごい。テーブル下のキスシーンは見事。ドーラが列車にのる場面には沈黙。
演説翻訳場面は笑い泣き。ラスト5分はじーんとしたね。戦車もでてきたし。

ブエナビスタ・ソシアルクラブ(99)
やってくれるぜヴィム・ヴェンダース。彼の耳はすごいわ。音楽を選ばせたら一級品。キューバの切り取り方も見事。でてくるミュージシャンの質はいうまでもない。
でもねでもね、ひとつだけいいたいの。ライ・クーダーのギター、特にエレキ、すっげー邪魔。ボトルネックみられたのはウレシイけどね。
ひとりでは再びみにいかない。でもだれかに誘われたらみにいってもいい。ビデオはかわないけど一度かりたい。ライブだけ編集したビデオがでたら絶対かってくりかえしみちゃうな。
ルベーン・ゴンザレスのピアノには圧倒された。彼のひいたあの「シボネイ」、オマーラにうたってほしかったなあ。
2000年9月にでるDVDには、かなり充実したオマケ映像がついているらしい。

愛は静けさの中に
ランダ・ヘインズ監督。女性監督で、聾唖者と教師の恋、ってことでみてみたら、ほどよく当たり。
微笑みつつみられるし、画面はキレイだし、ジーンとさせるし、(途中でネタがバレるような)ハッピーエンドだし。
おだやかな、いい時間をすごせる映画でした。カップルでみても大丈夫。

サム・サフィ(92.日仏合作)
ヴィルジニ・テヴネ監督、ジャン・フランソワ・ロバン撮影、キザイア・ジョーンズ音楽。
「普通のくらしが一番エキサイティング」って感じのキャッチフレーズがついていたな。
ぶっ壊れてても、生命力の強い人間は、どうしようもなく周りをかえていくものなのだね。
才能は、普通のくらしをしてしても、どうしようもなく表現されてしまうものなんだね。
映像の色の鮮やかさ、早いテンポの話の展開、とにかくみていて元気になれて楽しい。見事。またみようっと。

月の出を待って(87・アメリカ)

女性映画監督みまくりシリーズ第3作はジル・ゴッドミロー。主演リンダ・ハント、リンダ・バセット。
まるで教養系ヨーロッパ映画のようなタルさ。「いらち」な私は早送りしまくった。ガートルード・スタインとその使用人との友情をえがいたものなんだけど。
ヘミングウェイのよっぱらいぶりはツボ。そりゃあーなったらキューバいって銃で自殺するしかないよなあ。
天才と聖者と兵士の旅行にはホロッときた。焚き火をかこんでの夢物語が御伽噺のようなおしゃべりも悪くない。
ラストシーン、「あなたがいうのなら、どんなことだって答えはイエスよ」なんていうセリフにゃしびれたね。

5時から7時までのクレオ
アニエス.V監督の映像って、フランスのこじゃれた映像で、すっごく好き。
占い師の卵としては、塔のカードのリバースなら首の皮一枚つながっているし、死神もリバースなら死ではなくて再生なのだから、
あのカードの読み方はまちがってるぞ、といっておきたい。少なくとも、あれみたら「死ぬ」とはいえんだろ。
クレオのへやの中のブランコは羨ましかった。アルジェに旅立つ兵隊さんとのシャベリは、ツボでしたわ。この映画はできればカップルでみましょう。

アニエス・Vによるジェーン.B

女性監督みまくり第1作にこれを選んだのは正解でした。
ジェーンとアニエスが公開前提のプライベートなおしゃべりをしながら、ところどころにショートショート劇をおりこむんだけど、
上質な女の友情をリアルなかたちでフィルムにおさめた、とてもほのぼのとしたものでした。
それにしても、あのルックスに、フェアリーヴォイスたあ、ジェーン反則。
ギリシャ神話の女神のシーン、中島みゆき嬢の夜会ビデオみてるみたいだった。道具だてがみごと。鏡の多用にウットリ。

「リービング・ラスベガス」
ベストセラー本「愛人の掟」の中の「期間限定恋愛のすすめ」という文がこの映画のとてもいい紹介になっている。
アル中の恋人に酒をのむなといわない、しぬまでいわない。すごいよな。スキットル(酒の水筒)をf売春婦がアル中にプレゼントするところなんて、みていてウレシくなった。
命すてて酒におぼれるって、そーだよ、こうなるよなあ、としみじみ自分を振り返ってみておりました。みごとな醜態。すごすぎる飲みっぷり。
アル中役のニコラス・ケイジもいい感じだけど、恋人役も、どうしてもツラい状態を選んでしまう共依存状態をすっごくうまく演じていると思う。
音楽も、スティングの声がとても映画にあっていて好み。

「地球交響曲」
第1番でまずのけぞった。
メスナー(登山家)・シェルドリック(動物保護活動家)・野澤重雄(植物学者)・エンヤ・鶴岡真弓(美術史学者)・シュワイカート(元宇宙飛行士)のコメントをつないだ
オムニバスドキュメンタリー映画。
理屈ぬきで、いのちと地球と自分について、大事な感覚をえられる映画だと思う。
第2番は、ジャック・マイヨール、ダライラマ、フランク・ドレイク(天文学者)、佐藤初音。ホントはセナがでることになっていた。
第3番は、私はみていない。でも、これをみて、知人は星野道夫の写真の世界を追って、オーロラをみる旅にでた。
ビデオはでていないし、自主上映会のみでの上映なので、チャンスをのがさず、ぜひみてください。

「フィオナの海」(94・アメリカ)
ホントにアメリカ映画?と疑いたくなるような優しく穏やかなおとぎばなし。アイルランド版天女の羽衣続編。ケルト班は必見。
みていて心が決してあわだだない、ケルト風の音楽と風景の美しさ。フィオナ役の少女の名演技(日本なら安達ゆみしかできないと思う)。
助演俳優賞をあざらしたちにあげたい。すばらしいっ!!

「イル・ポスティーノ」(イタリア)
イタリアの文盲の漁村に育った頼りない青年が、チリから亡命してきた詩人との出会いをきっかけに大人になってゆく成長物語。
音楽・映像の美しさ。話の流れのもつ前向きな明るいムードは、充実したよい時間を約束してくれる、と思う。できれば日本語吹き替えでみましょう。
ラストシーンに号泣しそうな涙腺のヨワい人でないなら、カップルでみることをおすすめ。ロマンティックでほどよく笑える。

「タンゴ・レッスン」
サントラの音楽にひかれてみたら、私にとっては大当たり。サリー・ポッター監督&主演、やりたい放題がきもちいい。飲みながらぼーっとみてるだけでシアワセ。
ミニシアター系の映像だけど、すっごくきれいでスピーディだし、セリフもタルくないし、ダンスはすっごく色っぽくてスビーディで文句なしだし。

アトランティス(91・フランス)
リュック・ベッソン監督がグランブルーでとりたかったのは、実はこの作品の全面でとりあげられた海のいきものたちの美しさではないか、と思う。
ただひたすら眺めているだけで、シアワセになれる映像美。「単に海とってるだけで筋書きもナニもないじゃん」なんていってはイケナイ。
真夏、のんだくれてる時、むしょうにみたくなるビデオ。BGVとしても秀逸、と思う。

ファンタジア2000(2000・アメリカ。全国公開は今秋
今回のファンタジアは、旧作の「魔法使いの弟子」と新作7本。出来ればアイマックスシアターでみることを強くお勧め。
すべてタイプのちがう映像にしあがっていて、それぞれ楽しめるけど、私は昔のアメリカ漫画のようなガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」にハマりました。粋だよおっ。

ファンタジア(1940・アメリカ。1990劇場再公開)
「目でみる音楽、耳できく映像」なんていわれた、ディズニー版クラシック音楽プロモビデオ。指揮者のストコフスキーのケレンたっぷりの役者ぶりもタノシイ。
ミッキーマウスが弟子役ででていた「魔法使いの弟子」が最も有名だけど、「くるみわり」の自然たちのみごとなバレエは絶品、と思う。
90年に劇場公開されたときは、映画館へ通いつめてみていました。

マンボ・キングス わが心のマリア
これもねるのやるのシーン満載。(AVって、そーゆーイミで使ったんじゃないんだけどなー)でも明るく色っぽいので楽しくみていられる。
キューバからNYへきた音楽家兄弟の物語。物語は「お約束」ごっちゃりでシンプル。でも見せ方が楽しくて飽きないと思う。
ダンスも音楽も明るくクール、すっげーカッコいい。ホンモノのティト・プエンテがでてくるのも、すっごくウレシイ。
涙腺が弱い人は、最後のシーンで兄がテーマソング「わが心のマリア」をうたってるのみて泣くと思うけど、それ以外の人は、カップルでみてタノシイと思う。
ビデオが安くでていたら、かおうかなと思った作品。

奇跡の海(96年・デンマーク)

「セックスと真実の愛と信仰と奇跡の愛の物語」だそうで、AV室のトップバッターにふさわしく、にーちゃんとねーちゃんが裸でくんづほぐれつねるのやるのシーンしっかりあり。(あーあ笑)
いろんな賞をもらった作品らしいけど、どこがいいのか、私にはよくワカンなかった。最後の「奇跡」は、関西人ならツッコミを入れずにはすまされないだろう。
主演女優エミリー・ワトソンのコワレっぷりは見事。数々の映画賞を受賞したのもうなずける。けど、コワすぎ。シラフであんなにコワレちゃイカン。
ひとりドツボにハマりたい時にみるにはいいかもしれないけど、絶対カップルでみちゃいかんと思う。


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