ファドって何?
非常に大雑把にいうと、ポルトガル人の魂の歌。
19C半ば、リスボンの裏町にうまれた、アラブ・アフリカの民族音楽や、中世吟遊詩人のトルバドール、ジプシーなど異国の香りをたっぷり含むもの。
昔はやった久保田早紀の「異邦人」は、ファドをききこんで作られたらしい。
ファドの心・サウダーデ
日本のファド歌手・月田秀子の言葉をかりるなら、海にむかってほえるような、意のままにならない人生への慟哭・失われたものへはせる狂おしい憂い。
夜の空気に爪をたててひっかきたくなる思い(しかも海岸で、ついでに自分の臓物もひっぱりだしたりして)、と私はとりあえず思っております。
ちなみに、ブラジル音楽の心・サウダージは、
サウダージは切実な思慕感情をさし、必ず涙を伴うものらしい。
(アフリカからむりやりつれてこられた人々が故郷や家族を思う心が原点)
遠く離れていても心は至近、という片時も忘れられない対象への思い、らしい。
ファデスタ(ファド歌手)たち
アマリア・ロドリゲス
99.10になくなったファド界の大御所。ファドをしりたい人は彼女のベスト版からきいてみてください。
マドレデウス
テレーザ・サルゲイロのクリスタルヴォイスは、人間くささもなく、はっきり反則。
映画ファンなら、リスボン物語(ヴィム・ヴェンダース監督)のサントラで彼らの音楽を耳にしているはず。
ホンダ・アコードのCMにBGMとして使われていたことも。
ミージア
現在、ファドの王道をゆくのは彼女だと思う。
ドゥルス・ポンテス
現代的・個性的なアレンジで90年代のファドをつくってきた人。
2000.1.8.発売の「プリメイロ・カント」(ポリドール)が、関西版シュシュで紹介されていました。
「ファドをベースにしたコンテンポラリーなワールドミュージック」とのことで、多分ファドをきくのははじめてと思われる評者は、2人とも絶賛。聴くべし!!
マルガリーダ・ベッサ
明るい声・上品。ききやすさでは一番かも。
セザリア・エヴォラ
ファドではないが、旧ポルトガル領カボ・ヴェルデ島の歌姫ということで。裸足のディーバ。
日本版(BMGジャパン)もでている。ここで紹介した中では最も深い声をもつ、おすすめの歌手。
月田秀子
アマリア・ロドリゲスに認められた日本一のファデスタ。近畿なら定期的に彼女のライブをきけます。
久保田早紀
もしも彼女がファドを歌いつづけていたら、と、ポルトガル録音の、3枚目のアルバムをきくと思ってしまう。
彼女のつくる曲・彼女と山川啓介の作る詞の広がりと深さはワン・アンド・オンリー。
既存の歌謡曲の小さな枠をぬけてゴスペルへ行きついたのは、芸術家としては幸せな、当然の流れだったかも。