[酵素補充療法と免疫]

■ゴーシェ病の酵素補充療法

 MLDと同じように先天性代謝異常で脂質が蓄積する疾患でも、ゴーシェ病の場合、欠損している酵素を合成して体内に入れる酵素補充療法が確立しています。問題点としては、この酵素(Genzyme社のCeredase)が非常に高価で、2週間に1度の治療の1回分に60単位(約$240)×体重分、つまり体重20kgなら月に100万円以上かかるということです(「遺伝子病マニュアルによる)。これで保険がきかないんじゃ、たまったもんじゃないですね。
 MLDの場合、血液脳関門の存在と、免疫などの問題で酵素補充療法の実用化のめどは立っていません。

■免疫の問題

 細胞内では、一般に必要な酵素やタンパク質が、必要な場所だけで作られるようになっています。本来脳内で利用されるべき酵素を血管注射した場合、それが脳白質に到達するまで安定して活性化されている保証はなく、むしろ正常な免疫機能によって攻撃される可能性があります。しかも、こういった問題は事実上実験によって解明していくことが困難です。人体実験はもちろん、動物実験も難しいからです。言うまでもなく、人間のパーツの中で他の動物といちばん差があるのが脳ですから。また、それがどういう影響を及ぼすかも、知性がなく、言語を持たない動物を相手に実験してもあまり意味がない(動物実験でOKなら人間でもOKといいにくい)ことになります。

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