MLDになるとどうなるの?

 幼児型の場合、主に下肢に運動障害が出て、歩行できない、あるいは歩行を習得するのが遅かったり、いったん習得した歩行能力を失ったりするのが最初の症状になると言われています。やがて知的退行、言語障害が現れ、視力や聴覚を失っていく症例が多いようです。MLD自体が直接生命を脅かすわけではありませんが、中枢神経などが不可逆的に破壊されることによって、まず人間としての知的活動が行うことができなくなり、いずれは生命維持のための最小限のコントロールもできなくなるということです。発症を境に急速に時計の針を巻き戻すようにあかちゃんの状態に帰っていくと考えるとわかりやすいかもしれません。もっとも、記憶を司る灰白質に異常はなく、知的能力をほとんど失った状態でも、過去の楽しい想い出や好きなことに対する記憶は残っていると個人的には感じています。他の患者の家族の話でも「こちらの話がわかるような気がする」という人が多いです。
 Photo:MLD患者と母発症後の経過は個人によってかなり差があるようです。摂食や運動が難しくなる中で基礎体力が落ち、肺炎などの感染症を繰り返し、最終的にそれを乗り越えられなくなる、ということらしいです。病状の進行は発症時にまず急激に進み、その後は安定期が続き、感染症の併発による発熱などをきっかけにまた悪化し、といった繰り返しになるケースが多いようです。最終的な死因としては、嚥下困難などのために肺に異物(本人の唾液含む)が進入し、そこから肺炎を起こす、という形が多いようです。
 米国の医学データベースなどでは発症から死亡までの平均的な期間についてかなり厳しく見積もっていますが、今まで私が具体的に接触をもつことができた日本人患者(幼児型5名/小児型4名)の中にはそれを遙かに超えて生存しているケースもあります。

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