「小児難病親の会ハンドブック2000/2002/2004」原稿


  小児難病親の会ハンドブック2000 第3案(最終版) 2000/01/16 (青字は修正部分)

 

ロイコジストロフィー患者の会

 

■会の紹介

  ロイコジストロフィー(白質ジストロフィー/白質変性症)に分類される疾患はいずれも稀少難病であり、患者相互の情報交換はもちろん、出版物や担当医からの情報入手も難しい状況でした。しかし、90年代後半に入って、まずALD患者の一部、98年にはMLD患者の間の連絡網ができました。さらにMLDを中心にロイコジストロフィー全体の情報を扱う「MLD HomePage」ができたことで、いままで医療機関やボランティアを通じてしか連絡をとることが難しかった患者の家族が直接連絡をとりあう可能性が開かれました。
  ロイコジストロフィーはいずれもある程度共通した症状をもっていますが、原因物質や発症年齢、病状の進行、遺伝的性質には違いがあります。「ロイコジストロフィー患者の会」は、疾患ごとの患者の会やその他のボランティア活動の存在を前提に、それら全体をネットワーク化し、対外的な窓口となる、新しいタイプの患者の会を目指しています。

 

■病気の説明

  ロイコジストロフィーは中枢神経を取り囲んでいる髄鞘と呼ばれる部分がダメージを受ける進行性の疾患の総称です。白質部分に髄鞘が多いため、ロイコ(=白質)ジストロフィーと呼ばれています。白質がどのような理由でダメージを受けるかは疾患によって違います。基本的には、遺伝的な原因による酵素の欠損のため代謝異常が起きて、髄鞘を破壊する物質が蓄積されると考えられます。結果として、運動障害、言語障害、精神障害などが進行します。多くの場合問題になるのは嚥下障害や呼吸障害、それらの結果としての肺炎、あるいは強い不随意の筋肉の収縮やてんかん発作などの神経症状です。

  他の小児難病、障害児などと比較した場合、ロイコジストロフィーの特徴、問題点としては次のようなものがあります。

 (1)進行性であり、機能回復が難しい
  疾患やタイプによって差がありますが、基本的には成長にともなって病状が進行していきます。一般に発症が早ければ早いほど進行も早く、比較的患者数の多い乳幼児型、若年型などの場合、発症して最初の数年の変化が大きく、しだいに緩やかになります。しかし、リハビリや各種の福祉制度などはこういうパターンを想定しておらず、また、実際の運用にあたる医療関係者、行政関係者の間でも認識の差が大きいのが現状です。たとえば障害者手帳発行の条件や障害の程度の評価などがよく問題になります。

(2)治療法が確立されていない
  根本的な治療法がなく、現時点では対症療法も限られる稀少難病であるせいか、小児科医であっても最新の治療法に対する勉強不足、認識不足があるケースが多いと感じます。たとえば、骨髄移植は治療法としての危険性はあるものの、条件さえそろえば十分検討の余地がある選択だと思われますが、その効果やリスク、国内での実績に対する情報は、一般の医療機関にはほとんど行き渡っていないようです。

 (3)稀少であり、診断が遅れる傾向にある
  診断がつくまで1年以上かかる例も多く、また「ロイコジストロフィーのうちどれか」と目星がついた段階で確定診断をやめてしまうケースが多いようです。「いずれにせよ治療法がないので確定診断の意味がない」「早期診断の意味がない」「遺伝病であるため診断がためらわれる」といった医療側、患者側の思惑の結果だと思われますが、効果的な治療の可能性が皆無ではないこと、たとえ症状の改善には結びつかなくても、同じ病気の患者の家族との情報交換がQOLの向上に結びつくこと、病気に対して主体的に対応していくためにはそれに関する知識が不可欠なことなどから、ロイコジストロフィー患者の会では1日でも早い確定診断と患者の家族への十分な情報の提供を希望しています。

  なお、ロイコジストロフィーの中で、現在までに会に参加している患者、家族がいる疾患には次のような疾患があります。

 ・ALD(adrenoleukodystrophy)
  副腎白質ジストロフィー、副腎白質変性症などと呼ばれる疾患です。発症年齢は4歳から8歳が多いと言われていますが、最近の研究では大人になってからの発症例も多いことがわかっているようです。ALDにはさまざまなタイプがありますが、ロイコジストロフィー患者の会の参加者は幼児・小児型のX染色体劣性遺伝の患者が中心です。

 ・MLD(metachoromatic leukodystrophy)
  異染性白質ジストロフィー、異染性白質変性症などとも呼ばれます。生後12〜18ヶ月で発症する乳幼児型が最も多く、他に4〜12歳で発症する若年型、成人型があります。乳幼児型の場合、歩き始めた子供がまた歩けなくなってしまう、あるいはいつまでたってもよちよち歩きで転びやすいといったことで気がつく例が多いようです。

 ・クラッベ病 (Krabbe disease)
  グロボイド白質ジストロフィー、GLDなどとも呼ばれます。生後3〜6ヶ月で発症する例が多く、精神運動発達遅滞、痙攣などの症状が進行します。幼児型、若年型、成人型もあります。

  この他、MSD、Pelizaeus-Merzbacher病、Canavan病、Alexander病、Zellweger症候群、Refsum病、Aicardi-Goutieres症候群、CACH、CADASIL、CTXなどが対象疾患です。

 

■活動の内容

  ロイコジストロフィー患者の会は、一定の会員によって運営されるまとまった組織があり、その活動の一部として情報提供や相談などの活動が行われるといった従来の患者会とはかなり違った体制をとっています。具体的には、ロイコジストロフィー患者の家族によるさまざまな自主的な活動をネットワーク化し、それを調整すると共に、対外的な窓口を一本化するためのバーチャルな組織として展開しており、具体的な活動内容は、参加する個人やグループの活動が中心となっています。例外としては、たとえば関連学会の参加や対外的なメッセージ発信などがあります。つまり、ロイコジストロフィー患者の会の会員とは、基本的にはそのネットワークするさまざまな活動のどれかに参加している人の総体ということになります。

(1)ALD 親の会

  ALDの治療薬として使われている「ロレンツォのオイル」の配布を岐阜大学を通じて受けているALD患者の家族の連絡網と、関東における患者の会との合併により2000年1月に発足した会です。会の目的は、介護・治療などの最新情報の発信、及び、患者の家族の親睦です。

 (2)MLD HomePage

  当初はMLD患者の家族の情報交換と患者の会の設立を目指してオープンしたホームページですが、現在ではむしろロイコジストロフィー全体、あるいは先天性代謝異常症など関連疾患も含めたさらに広範囲の情報交換の場として機能しています。特に掲示板が同病者の紹介、治療法の解説、医療・行政の利用方法のノウハウ、家庭内介護の情報交換などのために活発に利用されています。ロイコジストロフィー患者の会の活動に関する連絡や打ち合わせも、このホームページを中心に行われています。インターネット上の活動ですから、参加資格はなく、患者以外にも医療関係者、教育関係者なども利用しています。

URL <http://www.bekkoame.ne.jp/ha/mld>

 (3)MLD Supporter's NEWS

  MLD患者の家族の交流と情報交換を目標に、2000年1月現在でMLD患者11家族、クラッベ病2家族が参加、7号まで出ています。患者の家族がそれぞれ近況や関心事項などを投稿し、それを合本して全員に配布するというスタイルです。参加資格はMLD、クラッベ病の家族であることで、個人情報を含むため会員以外には非公開です。参加者は名簿を共有しており、これはMLD患者の会、クラッベ病患者の会の名簿であると同時に、ロイコジストロフィー患者の会の活動の案内や報告などにも利用されています。

 (4)ALDねっとわーく

  ALDの患者家族が運営している幼児・小児型のALDに関する情報交換とサポートを目的としたホームページです。病気の知識、家族の対処法などの情報提供がメインになっています。ALD患者・家族の交流を行う掲示板も用意しています。

URL <http://www.ldfn.org/aldnet/> ※このURLは現時点でアクセス不能です

 (5)学会・勉強会参加

  会員の勉強のため、また、医療関係者へ会の存在をアピールし、ロイコジストロフィー患者の抱える問題への理解を求めるため、医学関連の学会に会として参加し、会場にブースを設けてチラシを配布したり、シンポジウムに参加してスピーチを行ったりしています。1999年の実績では小児神経学会、ライソゾーム病セミナー、リピドーシス研究会などに会として参加しています。

■連絡先など

「ロイコジストロフィー患者の会」「MLD患者の会」 代表 高橋洋
「ALD親の会」 代表 本間利江 副代表 笹岡裕子
「クラッベ病患者の会」 代表 今村卓也


 小児難病親の会ハンドブック2002 第2稿

 

ロイコジストロフィー患者の会

■会の紹介

  ロイコジストロフィー(白質ジストロフィー/白質変性症)に分類される疾患はいずれも稀少難病であり、患者相互の情報交換はもちろん、出版物や担当医からの情報入手も難しい状況でした。しかし、90年代後半に入って、まずALD患者の一部、98年にはMLD患者の間の連絡網ができました。さらにMLDを中心にロイコジストロフィー全体の情報を扱う「MLD HomePage」ができたことで、いままで医療機関やボランティアを通じてしか連絡をとることが難しかった患者の家族が直接連絡をとりあう可能性が開かれました。
  ロイコジストロフィーはいずれもある程度共通した症状をもっていますが、原因物質や発症年齢、病状の進行、遺伝的性質には違いがあります。「ロイコジストロフィー患者の会」は、疾患ごとの患者の会やその他のボランティア活動の存在を前提に、それら全体をネットワーク化し、対外的な窓口となる、新しいタイプの患者の会を目指しています。

■病気の説明

  ロイコジストロフィーは中枢神経を取り囲んでいる髄鞘と呼ばれる部分がダメージを受ける進行性の疾患の総称です。白質部分に髄鞘が多いため、ロイコ(=白質)ジストロフィーと呼ばれています。白質がどのような理由でダメージを受けるかは疾患によって違います。基本的には、遺伝的な原因による酵素の欠損のため代謝異常が起きて、髄鞘を破壊する物質が蓄積されると考えられます。結果として、運動障害、言語障害、精神障害などが進行します。多くの場合問題になるのは嚥下障害や呼吸障害、それらの結果としての肺炎、あるいは強い不随意の筋肉の収縮やてんかん発作などの神経症状です。

  他の小児難病、障害児などと比較した場合、ロイコジストロフィーの特徴、問題点としては次のようなものがあります。

 (1)進行性であり、機能回復が難しい
  疾患やタイプによって差がありますが、基本的には成長にともなって病状が進行していきます。一般に発症が早ければ早いほど進行も早く、比較的患者数の多い乳幼児型、若年型などの場合、発症して最初の数年の変化が大きく、しだいに緩やかになります。しかし、リハビリや各種の福祉制度などはこういうパターンを想定しておらず、また、実際の運用にあたる医療関係者、行政関係者の間でも認識の差が大きいのが現状です。たとえば障害者手帳発行の条件や障害の程度の評価などがよく問題になります。

(2)治療法が確立されていない
  根本的な治療法がなく、現時点では対症療法も限られる稀少難病であるせいか、小児科医であっても最新の治療法に対する勉強不足、認識不足があるケースが多いと感じます。たとえば、骨髄移植は治療法としての危険性はあるものの、条件さえそろえば十分検討の余地がある選択だと思われますが、その効果やリスク、国内での実績に対する情報は、一般の医療機関にはほとんど行き渡っていないようです。

 (3)稀少であり、診断が遅れる傾向にある
  診断がつくまで1年以上かかる例も多く、また「ロイコジストロフィーのうちどれか」と目星がついた段階で確定診断をやめてしまうケースが多いようです。「いずれにせよ治療法がないので確定診断の意味がない」「早期診断の意味がない」「遺伝病であるため診断がためらわれる」といった医療側、患者側の思惑の結果だと思われますが、効果的な治療の可能性が皆無ではないこと、たとえ症状の改善には結びつかなくても、同じ病気の患者の家族との情報交換がQOLの向上に結びつくこと、病気に対して主体的に対応していくためにはそれに関する知識が不可欠なことなどから、ロイコジストロフィー患者の会では1日でも早い確定診断と患者の家族への十分な情報の提供を希望しています。

  なお、ロイコジストロフィーの中で、現在までに会に参加している患者、家族がいる疾患には次のような疾患があります。

 ・ALD(adrenoleukodystrophy)
  副腎白質ジストロフィー、副腎白質変性症などとも呼ばれる疾患です。発症年齢は4歳から8歳が多いと言われていますが、最近の研究では大人になってからの発症例も多いことがわかっているようです。ALDにはさまざまなタイプがありますが、ロイコジストロフィー患者の会の参加者は幼児・小児型のX染色体劣性遺伝の患者が中心です。

 ・MLD(metachoromatic leukodystrophy)
  異染性白質ジストロフィー、異染性白質変性症などとも呼ばれます。生後12〜18ヶ月で発症する乳幼児型が最も多く、他に4〜12歳で発症する若年型、成人型があります。乳幼児型の場合、歩き始めた子供がまた歩けなくなってしまう、あるいはいつまでたってもよちよち歩きで転びやすいといったことで気がつく例が多いようです。

 ・クラッベ病 (Krabbe disease)
  グロボイド白質ジストロフィー、GLDなどとも呼ばれます。生後3〜6ヶ月で発症する例が多く、精神運動発達遅滞、痙攣などの症状が進行します。幼児型、若年型、成人型もあります。

・PMD(Pelizaeus-Merzbacher disease)
 ペリツェウス・メルツバッハ病は、主に男児に生後数ヶ月の段階で眼振などの症状が発症し、他のロイコジストロフィ!<$K$/$i$Y$F?J9T$O$f$C$/$j$G$9!#

  この他、MSD、Pelizaeus-Merzbacher病、Canavan病、Alexander病、Zellweger症候群、Refsum病、Aicardi-Goutieres症候群、CACH、CADASIL、CTXなどが対象疾患です。

■活動の内容

  ロイコジストロフィー患者の会は、一定の会員によって運営されるまとまった組織があり、その活動の一部として情報提供や相談などの活動が行われるといった従来の患者会とはかなり違った体制をとっています。具体的には、ロイコジストロフィー患者の家族によるさまざまな自主的な活動をネットワーク化し、それを調整すると共に、対外的な窓口を一本化するためのバーチャルな組織として展開しており、具体的な活動内容は、参加する個人やグループの活動が中心となっています。例外としては、たとえば関連学会の参加や対外的なメッセージ発信などがあります。つまり、ロイコジストロフィー患者の会の会員とは、基本的にはそのネットワークするさまざまな活動のどれかに参加している人の総体ということになります。

(1)ALD 親の会

  ALDの治療薬として使われている「ロレンツォのオイル」の配布を岐阜大学を通じて受けているALD患者の家族の連絡網と、関東における患者の会との合併により2000年1月に発足した会です。会の目的は、介護・治療などの最新情報の発信、及び、患者、家族の親睦です。顧問医の協力のもと、会報の発送などを行っています。

 (2)MLD HomePage / ロイコジストロフィー・ネットワーク

  MLD患者の家族の情報交換を目的としてスタートした「MLD HomePage」は、その後ロイコジストロフィー全体、あるいは先天性代謝異常症など関連疾患も含めたさらに広範囲の情報交換の場として発展し、2001年秋より、「ロイコジストロフィー・ネットワーク」としてリニューアルしました。特定の疾患に限らない、インターネット上のコミュニティとして活動しています。

URL <http://www.jura.jp/leuko1/>

 (3)MLD Supporter's NEWS

  MLD患者の家族の交流と情報交換を目標に、2001年9月現在でMLD患者13家族、クラッベ病3家族が参加、12号まで出ています。患者の家族がそれぞれ近況や関心事項などを投稿し、それを合本して全員に配布するというスタイルです。参加資格はMLD、クラッベ病の家族であることで、個人情報を含むため会員以外には非公開です。参加者は名簿を共有しており、これはMLD患者の会、クラッベ病患者の会の名簿であると同時に、ロイコジストロフィー患者の会の活動の案内や報告などにも利用されています。

 (4)ALDねっとわーく

  ALDの患者家族が運営している幼児・小児型のALDに関する情報交換とサポートを目的としたホームページです。病気の知識、家族の対処法など、主に診断を受けたばかりの患者・家族を対象に、情報を提供しています。

URL <http://www.ldfn.org/aldnet/

 

 (5)学会・勉強会参加

  会員の勉強のため、また、医療関係者へ会の存在をアピールし、ロイコジストロフィー患者の抱える問題への理解を求めるため、医学関連の学会に会として参加し、会場にブースを設けてチラシを配布したり、シンポジウムに参加してスピーチを行ったりしています。1999年の実績では小児神経学会、ライソゾーム病セミナー、リピドーシス研究会などに会として参加しています。

■連絡先など

「ロイコジストロフィー患者の会」事務局/MLD患者窓口 高橋洋
「ALD親の会」 /ALD患者窓口 本間利江 笹岡裕子
クラッベ病患者窓口 今村卓也
ペリツェウス・メルツバッハ病患者窓口 岡田佳美

 

  小児難病親の会ハンドブック2004  2000/01/16 (青字は修正部分)

 

ロイコジストロフィー患者の会

■会の紹介

  ロイコジストロフィー(白質ジストロフィー/白質変性症)に分類される疾患はいずれも稀少難病であり、患者相互の情報交換はもちろん、出版物や担当医からの情報入手も難しい状況でした。しかし、90年代後半に入って、まずALD患者の一部、98年にはMLD患者の間の連絡網ができました。さらにMLDを中心にロイコジストロフィー全体の情報を扱う「MLD HomePage」ができたことで、いままで医療機関やボランティアを通じてしか連絡をとることが難しかった患者の家族が直接連絡をとりあう可能性が開かれました。
  ロイコジストロフィーはいずれもある程度共通した症状をもっていますが、原因物質や発症年齢、病状の進行、遺伝的性質には違いがあります。「ロイコジストロフィー患者の会」は、疾患ごとの患者の会やその他のボランティア活動の存在を前提に、それら全体をネットワーク化し、対外的な窓口となる、新しいタイプの患者の会を目指しています。

■病気の説明

  ロイコジストロフィーは中枢神経を取り囲んでいる髄鞘と呼ばれる部分がダメージを受ける進行性の疾患の総称です。白質部分に髄鞘が多いため、ロイコ(=白質)ジストロフィーと呼ばれています。白質がどのような理由でダメージを受けるかは疾患によって違います。基本的には、遺伝的な原因による酵素の欠損のため代謝異常が起きて、髄鞘を破壊する物質が蓄積されると考えられます。結果として、運動障害、言語障害、精神障害などが進行します。多くの場合問題になるのは嚥下障害や呼吸障害、それらの結果としての肺炎、あるいは強い不随意の筋肉の収縮やてんかん発作などの神経症状です。

  他の小児難病、障害児などと比較した場合、ロイコジストロフィーの特徴、問題点としては次のようなものがあります。

 (1)進行性であり、機能回復が難しい
  疾患やタイプによって差がありますが、基本的には成長にともなって病状が進行していきます。一般に発症が早ければ早いほど進行も早く、比較的患者数の多い乳幼児型、若年型などの場合、発症して最初の数年の変化が大きく、しだいに緩やかになります。しかし、リハビリや各種の福祉制度などはこういうパターンを想定しておらず、また、実際の運用にあたる医療関係者、行政関係者の間でも認識の差が大きいのが現状です。たとえば障害者手帳発行の条件や障害の程度の評価などがよく問題になります。

(2)治療法が確立されていない
  根本的な治療法がなく、現時点では対症療法も限られる稀少難病であるせいか、小児科医であっても最新の治療法に対する勉強不足、認識不足があるケースが多いと感じます。たとえば、骨髄移植は治療法としての危険性はあるものの、条件さえそろえば十分検討の余地がある選択だと思われますが、その効果やリスク、国内での実績に対する情報は、一般の医療機関にはほとんど行き渡っていないようです。

 (3)稀少であり、診断が遅れる傾向にある
  診断がつくまで1年以上かかる例も多く、また「ロイコジストロフィーのうちどれか」と目星がついた段階で確定診断をやめてしまうケース多いようです。効果的な治療の可能性が皆無ではないこと、たとえ症状の改善には結びつかなくても、同じ病気の患者の家族との情報交換がQOLの向上に結びつくこと、病気に対して主体的に対応していくためにはそれに関する知識が不可欠なことなどから、ロイコジストロフィー患者の会では1日でも早い確定診断と患者の家族への十分な情報の提供を希望しています。

  なお、ロイコジストロフィーの中で、現在までに会に参加している患者、家族がいる疾患には次のような疾患があります。

 ・ALD(adrenoleukodystrophy)
  副腎白質ジストロフィーとも呼ばれる疾患です。発症年齢は4歳から8歳が多いと言われていますが、最近の研究では大人になってからの発症例も多いことがわかっているようです。ALDにはさまざまなタイプがありますが、ロイコジストロフィー患者の会の参加者は幼児・小児型のX染色体劣性遺伝の患者が中心です。

 ・MLD(metachoromatic leukodystrophy)
  異染性白質ジストロフィーとも呼ばれます。生後12〜18ヶ月で発症する乳幼児型が最も多く、他に4〜12歳で発症する若年型、成人型があります。乳幼児型の場合、歩き始めた子供がまた歩けなくなってしまう、あるいはいつまでたってもよちよち歩きで転びやすいといったことで気がつく例が多いようです。

 ・クラッベ病 (Krabbe disease)
  グロボイド白質ジストロフィー、GLDなどとも呼ばれます。生後3〜6ヶ月で発症する例が多く、精神運動発達遅滞、痙攣などの症状が進行します。幼児型、若年型、成人型もあります。

・PMD(Pelizaeus-Merzbacher disease)

ペリツェウス・メルツバッハ病は、主に古典型、先天型にわかれ  髄鞘形成不全の程度により病状の差がありますが進行性の疾患ではありません。

 

  この他、MSD、Canavan病、Alexander病、Zellweger症候群、Refsum病、Aicardi-Goutieres症候群、CACH、CADASIL、CTXなどが対象疾患です。

■活動の内容

  ロイコジストロフィー患者の会は、一定の会員によって運営されるまとまった組織があり、その活動の一部として情報提供や相談などの活動が行われるといった従来の患者会とはかなり違った体制をとっています。具体的には、ロイコジストロフィー患者の家族によるさまざまな自主的な活動をネットワーク化し、それを調整すると共に、対外的な窓口を一本化するためのバーチャルな組織として展開しており、具体的な活動内容は、参加する個人やグループの活動が中心となっています。例外としては、たとえば関連学会の参加や対外的なメッセージ発信などがあります。つまり、ロイコジストロフィー患者の会の会員とは、基本的にはそのネットワークするさまざまな活動のどれかに参加している人の総体ということになります。

(1)ALD 親の会

  ALDの治療薬として使われている「ロレンツォのオイル」の配布を岐阜大学を通じて受けているALD患者の家族の連絡網と、関東における患者の会との合併により2000年1月に発足した会です。会の目的は、介護・治療などの最新情報の発信、及び、者、家族の親睦です。顧問医の協力のもと、会報の発送などを行っています。

(2)MLD HomePage / ロイコジストロフィー・ネットワーク

  MLD患者の家族の情報交換を目的としてスタートした「MLD HomePage」は、その後ロイコジストロフィー全体、あるいは先天性代謝異常症など関連疾患も含めたさらに広範囲の情報交換の場として発展し、2001年秋より、「ロイコジストロフィー・ネットワーク」としてリニューアルしました。特定の疾患に限らない、インターネット上のコミュニティとして活動しています。

URL <http://www.jura.jp/leuko1/>

(3)MLD Supporter's NEWS

  MLD患者の家族の交流と情報交換を目標に、1998年に発行を開始し、後にクラッベ病患者の家族も加わりました。2001年9月現在でMLD患者13家族、クラッベ病3家族が参加、12号まで出ています。患者の家族がそれぞれ近況や関心事項などを投稿し、それを合本して全員に配布するというスタイルです。参加資格はMLD、クラッベ病の家族であることで、個人情報を含むため会員以外には非公開です。2005年現在、定期的な刊行は停止中ですが、ご連絡いただいた方にバックナンバーをお配りしています。

(4)ALDねっとわーく

  ALDの患者家族が運営している幼児・小児型のALDに関する情報交換とサポートを目的としたホームページです。病気の知識、家族の対処法など、主に診断を受けたばかりの患者・家族を対象に、情報を提供しています。

URL <http://www.ldfn.org/aldnet/

(5)ペリツェウス・メルツバッハ ネットワーク

 2001年11月にPMD患者の名簿ができ、2002年1月より「PMN」ペリツェウス・メルツバッハ・ネットワークとして会報を発行しています。現在11家族が集まり、1ヶ月に一度、名簿順に日常の様子や悩み事などを会報に書いて頂き親睦を図っています。またHPの「Smile & Kick」でもPMDに関する情報交換の場として、専用の掲示板もあります。会報やHPを通じてPMDご家族の近況報告、医療情報、就学問題、介護、悩み事、その他雑談等の情報交換を行ってます。

URL <http://hccweb1.bai.ne.jp/~hdc90601/

(6)クラッベ病患者と家族の会

 ロイコジストロフィー患者の会の中で、クラッベ病の患者とその家族が集まり、2004年8月14日「クラッベ病患者と家族の会」を設立しました。今後もロイコジストロフィー患者の会と連絡を密にしながら、クラッベ病患者相互の情報交換と親睦を図っています。

 (7)学会・勉強会参加

  会員の勉強のため、また、医療関係者へ会の存在をアピールし、ロイコジストロフィー患者の抱える問題への理解を求めるため、医学関連の学会に会として参加し、会場にブースを設けてチラシを配布したり、シンポジウムに参加してスピーチを行ったりしています。

■連絡先など

「ロイコジストロフィー患者の会」事務局/MLD患者窓口 高橋洋
「ALD親の会」 /ALD患者窓口 本間利江 笹岡裕子
クラッベ病患者窓口 (西日本) 武田 正道

                            (東日本)今村卓也
ペリツェウス・メルツバッハ病患者窓口 岡田佳美

 

 


05/02/04


※このWebサイトはあくまで患者の家族が個人的に作成したものです。医学情報の扱いにはご注意ください。
 MLD HomePage/ロイコジストロフィー・ネットワーク mld@jura.jp