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昆虫と食植物

食植物とは昆虫が習慣的に食している植物のことです。昆虫の食性は、植食性・肉食性・雑食性・腐食性、単食性・少色性・多食性、狭食性・広食性などと区別されますが、たとえばウスバキチョウはコマクサを唯一の食草とする植食性の単食性種です。高山帯に生息している昆虫(特に高山蝶・高山蛾)の食植物は、1種あるいは数種に限定されていることが多いのですが、なかにはダイセツドクガやダイセッタカネフキバッタのように数科の植物を食している例や多食性のものもみられます。特にダイセッタカネフキバッタなどは、下界で飼育するとキャベツやレタスなども好んで食するほどです。 現在の高山性昆虫の分布を考える時、ウスバキチョウはその食草であるコマクサが高山帯のみに分布しているので、それに相関して高山帯のみに分布が限定されてきたと単純に考えられがちです。しかし上記の種の例のようにやや多食性のものを考えると、その由来は、単に食性要因のみでは解決されないことも容易に理解できると思います。
* 国外の亜種ではカラフトケマンやケマンソウなどが食草として知られている。
                                 (保田 信紀)


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