エスニック

羽無しバッターダイセッタカネフキバッタ

最近になって、大雪山の高地族の仲間に加えられた氷河期の落し子です。国外ではソ連のパイカル湖周辺から極東地方に分布しており、国内では北海道のみに分布しています。そして現在では、大雪山系のほかに、利尻山、暑寒別岳、芦別岳、斜里岳、羅臼岳の高山帯に生息ていることが確認されました。ダイセッタカネフキバッタは高山帯にのみ分布し、年1回の発生です。秋に土中に産みつけられた卵はそのままの状態で冬を越し、雪の融けた7月上旬にふ化した幼虫が出現します。このバッタの食性はかなり広く、種々の高山植物がその食料となっています。幼虫時代は茶褐色の地味な色彩をしているのであまり目立ちません。そして8月中句を過ぎると色鮮やかなグリーン色に変身した新成虫(体長2cm)が現われてきます。しかし成虫といっても羽はまったくありません。 この羽無しバッタの出現する頃は、すでにほとんどの高山蝶は姿を消しています。そのためこの季節に観察できる最も代表的な高地族です。そして個体数も大変豊富で、雲の平のようなチングルマやキバナシヤクナゲのお花畑のいたるところで観察できます。                  
                 (保田 信紀)


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