工ゾタヌキ 食肉目 イヌ科 タヌキ属エゾタヌキは、日中見かけることは少なく、その生態もあまり分かっていません。本州ではキツネが少なく、タヌキの方が多いのですが、北海道では、その逆にタヌキが少ないようです。タヌキの体重はキツネと同じ位ですが、足の大きさは半分ほどでしかも短いため、動作も鈍く足も遅いので、とてもキツネのライバルになるとは思われません。新雪が苦手のようで新雪が積もると出歩かず、巣穴にこもっているようです。このため、秋には大量に食べ、体重が8kgほどにもなりますが、春先には、体重が2kgほどにも落ちてしまうことがあります。この頃には、動物園などに保護されるタヌキが多く、点滴を受けて回復を待つという笑えない話もあります。最近は保護されるタヌキの数も減ってきており生息数の減少が心配されています。 タヌキの餌はネズミやカエルなどの小動物、バッタなどの昆虫や様々な木の実と多種類に及んでいます。 生態的におもしろいことは、巣の近くにする「ためぐそ」でしょう。タヌキはまた意外なことに木登りもできるのです。なお、大雪山地域では山麓部にしか生息していないようです。 タヌキは、イヌ科の中では古いタイプで、アジアの一部と日本でしか見ることができま せん。性格は臆病で、あまり驚くと気絶することもあるようです。雪の多い所では、一時 的な冬ごもりをすることもわかっていますが、無事冬を過ごせる若いタヌキは少ないよう です。おもしろいことは、飼育下のタヌキがなかなか発情しないため、冬期間の餌を減ら したところ、見事に出産したことから、冬期間の粗食がタヌキの発情に必要なこともわかっ ています。 百年ほど前の北海道には、大型のエゾオオカミ が、シカを狩って生活していました。開発に伴っ てエゾシカも減り、人間に狩りたてられたオオカ ミは絶滅して、しまったのです。かつてはこの大雪 山にもオオカミの遠吠えが響き波っていたのでし ょう。 (塩谷 奔和) |
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