ふつう、モミジは紅葉と考えられていますが、昔は黄葉もモミジと読まれていたのです。
木の葉が黄色や赤くなることを「モミジする」と動詞で表現したので、ヤマブドウもイチョ
ウもモミジする木でした。中国では黄色が高貴な色とされていましたが、日本では黄色よ
り紅色がめでたい色とされ、モミジは紅葉を意味するようになったのです。そして京都の
高雄山のカエデは特によく紅葉したのでモミジの代表とされ、ついにはモミジという名を
つけられました。
大雪山に見られるカエデのうちエゾイタヤ(イタヤカエデ)・ミネカエデは黄色くモミ
ジすることが多く、ハウチワカエデ・オガラバナは赤くモミジすることが多いようです。
美しく紅葉するためには、日中に十分に光を受けて栄養が多く作られることと夜間の低
温が必要です。黄葉するのは低温で緑の中の葉緑素(クロロフィル)が分解し、もともと
葉に含まれていたカロチノイド類の色が出るためです。
また、葉の中の糖分が変化しアントシアン系色素が増加すると紅葉となるのです。だか
らその年の気象により、紅葉が鮮やかな年とそうでない年があるのです。 (青木 満)
大雪山で紅葉する主な樹木
紅葉する樹木 ウラジロナナカマド、ナナカマド、ハウチワカエデ、オガラバナ、
エゾヤマザクラ、ツタウルシ、ツリバナ、クロウスゴ、ウラシマツ
ツジ、クロマメノキ、チングルマ等
黄葉する樹木 カツラ、エゾイタヤ、ミネカエデ、シナノキ、ドロノキ、イヌエン
ジュ、ダケカンバ、シラカンバ、ミナヤナギ等
黄褐色になる樹木 ミズナラ、ハルニレ、オヒョウ、ホオノキ等
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