空と文字(FIELD)

植物界の居そうろう



落葉樹林の技などに時々鳥の巣のような形をした緑の固まりがあります。よく見ると枝
も葉もあるりっぱな植物です。これはヤドリギとよばれる寄生植物の一種で、宿主植物か
ら栄養をもらう植物界の居そうろうなのです。寄生植物は、大きく全寄生と半寄生に分け
られます。前老は、水分もでんぷんなども宿主からもらうので緑色をしていません。チシ
マザサの根元に寄生するショウキランなどがその例です。後者に属するヤドリギなどは、
宿主が根から吸いあげた水分や無機塩類はもらいますが、自分で光合成によりでんぷんな
どを作るので緑色をしています。
 ヤドリギは、カツラ、ミズナラなどの高木に寄生していますが、樹から樹にその種子を
ばらまく秘密は果実にあります。その実には、軟らかい果肉がついていて野鳥の好物とな
ります。ところが、その種子は粘性があり堅くて消化されずに排出されます。それが技に
付着すると発芽できるのです。だからヤドリギの多い所は鳥も多いと言えるでしょう。
 冬も青々としたヤドリギの生命力のたくましさに、西洋の人々は悪魔よけの魔力がある
と信じたそうです。だから、キューピットの弓はヤドリギで作ると言われています。
                                     (青木 満)
大雪山で見られる寄生植物類
 寄生植物
     全寄生 オニク、ショウキラン
     半寄生 ヤドリギ、シオガマ属(ヨツバシオガマ、キバナシオガマ、タカネシオガマ)
 腐生植物‥‥‥腐生菌類等に寄生
            オニノヤガラ、ツチアケビ、ギンリョウソウ
 


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