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高山ヒース(高山風衝植物群落)



高山ヒース(高山風衝植物群落)

 

高山の中でも風あたりが強く、積雪の少ない尾根部などには大きく分けて、矮性の小低
木を主とした高山ヒース(風衝矮性低木群落)と呼ばれる群落と、草本を主とした高山風
衝草原と呼ばれる群落とがあります。
 高山ヒースは同じ高山の風衝地の中でもやや安定した立地で成立し、しばしばカーペッ
ト状に地面を被っています。主な構成種はツツジ科の小低木類で、ウラシマツツジ、コメバツガザクラ、ミネズオウ、キバナシヤクナゲ、イワヒゲ、クロマメノキ、コケモモなどが見られます。また、イワウメ、ガンコウランなどの小低木類も混生しています。多くの小低木類は革質化や厚膜化した葉を密生し、強い風衝や乾燥に耐えることができるのです。 高山風衝草原は風衝作用がさらに厳しく、砂礫が移動するような不安定な所に拡がっています。主な構成種は、エゾオヤマノエンドウ、チョウノスケソウ、エゾマメヤナギ、チシマキンレイカなどの多年生草本と小低木類です。また、これらの構成種にはホソバノウルップソウ、エゾハハコヨモギなどの大雪山の固有種や稀産種が数多く含まれています。
生育立地は構造土や永久凍土地帯のことが多く、日本の中で最も高山的要素の強い群落と言えるでしょう
 これらの風衝地といえど冬期問にまったくの裸地ということは少なく、地上を覆う積雪は薄いながらも氷化した被膜を作り、群落を厳寒の強風から守っています。
(中條 良作)

 
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