空と文字(FIELD)

親は踏み台一倒木更新



親は踏み台 倒木更新

 

エゾマツ、アカエゾマツ、トドマツなどの針葉樹の根元をよく見ると、根が地上に出て
いる「根上り」状態の木がたくさん見られます。これは、倒木や根株の上で発芽した稚樹が大きくなるにつれ、倒木や根株が朽ちはて根だけが地上に取り残された姿なのです。 これらの針葉樹林の中では、樹木やササが密に生い繁っていると林床が日照不足となり、林床に落ちた種子が発芽しても生長できずに枯れてしまうのです。また、エゾマツの種子は雪腐れ菌に犯されてなかなか生長できないのです。しかし、倒木上や根株上では日照不足などの条件が緩和され、また適度な湿り気と養分に恵まれているため、稚樹の生長にとっては格好の場所なのです。同様のことは表面をコケ類で被われた露岩にも言えることです。このように倒木上などでくり広げられる樹木の世代交代を倒木更新と呼んでいます。親木を踏み台にして次世代の若木が生長する過程は、人間の世界と共通していませんか。
 倒木更新は針葉樹だけにあるのではなく、気を付けてみると広葉樹でも見られます。自然林の中で同一樹令位の木が一列に整然と並んでいたら倒木更新で生長した可能性が高いのです。

トップ アイコン
トップ


空と文字(FIELD)