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もっと光を一林床植物



もっと光を! 林床植物

晴れた日などに急に森の中に入ると、まるでトンネルの中に入った時のように物がよく見えなくなったことはないでしょうか。これは森の中がたいへん暗いためなのです。発達した森林では林の下(林床)に届く光の量は全体のわずか1〜3%位で、混んだ針葉樹林やササの生い繁る林床では1%以下になることもあります。
 こんな暗い林の下で生活している植物たちを林床植物と呼んでいますが、林床植物には二つの生活タイプがあります。一つは少ない光の中でも耐えて生活しているタイプで、シダ類、スゲ類や常緑性の低木類など多くの植物があります。もう一つのタイプは、春一番に葉を広げ花を咲かせ実をつけ、夏には休眠してしまうタイプです。これは上層の木が葉を広げ、また葉を厚くして林床に達する光が減少する前に活動を終えてしまう「利口タイプ」と言えるでしょう。のタイプの代表がエゾイチゲ、ヒメイチゲ、カタクリ、エゾェンゴサクなどです。このタイプの植物は「春植物」と呼ばれています。 暗い林床ではハルニレ、エゾマツ、トドマツなどの極相林の稚樹も、大部分が1〜2年位で枯れてしまい一部の木だけが低木になれるでのです。これらの低木も、上層の木が枯れたりして光が林の中に入り込むと急激に成長し、そのうちの幸運な木だけが高木となれる厳しい社会なのです。                     (青木 満)

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