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大雪山のおいたち

大雪山のおいたち1

 大雪山国立公園は、北海道の中央部に位置し、総面積約23万ヘクタールの広さを持つ日本最大の国立公園です。 旭岳(2290m)を最高峰として南には忠別岳、トムラウシ山、美瑛岳、十勝岳などの標高2000m前後の山々が50km以上にわたって続きます。そして東部には、日高系の古生層からなる石狩山群が連なります。
 大雪山とは、これらの山を総称して呼ぶもので、大雪山という一峰の山はありません。 この山々の中には、今も噴煙を上げ活動しているところがあります。十勝岳は、この中でもっとも活動の激しいところです。 いわゆる、表大雪の中央火口はお鉢平とよばれ、まわりの山々を造っていった大噴火口(カルデラ)です。この火口を囲むように、永山岳、比布岳、愛別岳、北鎮岳、凌雲岳、黒岳、烏帽子岳、赤岳、白雲岳などの古大雪火山群と北海岳、間宮岳、中岳の諸山の新大雪火山、最後は旭岳の誕生と言うように大雪の山々は出来上がっていったのです。古大雪火山群は現在では、新大雪火山及び層雲峡熔結擬灰岩に埋められていてはっきりした凹地はみられません。

  大雪山のおいたちTT
 

お鉢平を取り囲んでいる新大雪火山群について調べてみましょう。 新大雪火山群は第4紀更新世後期(3〜15万年前)に、古大雪火山群のカルデラの中にできた成層火山です。北側は、古大雪火山に接しているため山麓の発達は悪く、西側及び東南方向に広く発達しています。また、脚部をよく観察すると層雲峡熔結凝灰岩でおおわれていることがわかります。このため、成層火山の山麓の原形は見ることができません。 中央火口から噴出した層雲峡熔結凝灰岩は、平坦な地形の北海平、雲の平を形作っていきました。上部には、直径2kmのほぼ円形の火口(お鉢平)を見ることができます。火山活動のおさまった後、このカルデラには水がたまり大きな湖ができたことでしょう。やがて、この東側が破壊され水が流れ出しました。これが赤石川で火口瀬を形成しながら石狩川に注いでいます。 その後、第4紀現世、旭岳が形成されていく頃(数千年前)、北海岳山腹からミクラ沢溶岩が噴出しました。この溶岩流はその原形をはっきり残し黒岳山頂からもよく観察することができます。

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