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猫の祟り


するりと抜けた猫の行方に
にやけたあなたが立っていた
何やってんだのひと言の後に
にやけたあたしを見詰めてた
猫が気ぃ利かせた

すらりと伸びて,頭の上に
それ以上言葉はなかった
元気にしてたと笑って見せりゃ
短く答え踵返す

約束ポカしたことを咎める態度
見せはしないけれど
ごめんなさいを聞きたいもんだと
言いたくないのかナ

ふらりとあなたをからかったのと
大道芝居でも演じよか
卒業式の後とはまずった
涙を見られちゃまずいよね

約束かさねることはたやすいことと
思えはするけれど
ごめんなさいも重ねて良いかと
訊いても良いのかナ

猫を恨もうか

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黒い翰


長い廊下で先に気付いた
照れ臭くって横むいたのに
笑ひ合ふ声ふいに止まって
擦れ違ふまで聞かれなかった

不安は黒い翰
大きく張り出せば
不安は黒い翰
悪い風に攫はれる

唐突だとは思ったけれど
返事もくれずもう春休み
逢へない日日をなくしたくって
苦しい思ひを手紙にしたの

不安は黒い翰
大きく張り出せば
不安は黒い翰
悪い風に攫はれる

不安は黒い翰
大きく張り出せば
不安は黒い翰
悪い風に攫はれる

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の日とたまの休日には


季節外れの台風きたり
狙ったやうな南海のヴィジタ
買ったばかりの傘でびしょ濡れ
水も滴るなんて言ってられない

人の流れも今日は百分
赤信号が百倍うらめしい
少し遅れて駆け込んだのに
カウンタも席も広広と空いてゐた

優しい態度は初めのうち
あんまり近付くんぢゃなかったワ

店のマップと時刻を描いて
ファクシしたけど心許無い
ドラマティックな期待よせても
雨の降る日はみんな家に居るよ

前に何かで喧嘩したとき
冷たいネって言った事がある
よく言はれると躱されたけど
ちょっと複雑な陰を瞳に見た

優しい態度は他人のため
あんまり近付くんぢゃなかったワ

季節外れの台風きたり
窓を洗って街灯にじませ
もういちど電話かけようとしたら
ナンバを憶え間違へてたなんて

たまの休みはみんな家に居るよ

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を見に来た


思ふより掛かったね
ランチタイムを少し過ぎた
迎へに来てくれてありがたう
地図は捨てないでゐて

長続きしないよと
友だちからは言はれてゐる
本音を口に出さないのは
照れてるばかりぢゃない

けふ見に来た海は
嘘をついてないネ

眩しさうな顔して
わたしと波を交互に見た
日焼けを厭ふくせに
膝まで濡らして
転びかけてる

こどもらに構はれて
蟹採りなんか手伝ってる
あなたのこの前の写真も
妹は笑ってた

でも今でなければ
きっと判らないヨ

眩しさうな顔して
わたしと波を交互に見た
夜景が好きなくせに
ここまで来た訳
訊かなくたって

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SPEED


愛しさに心が満たされてる
ここは見慣れた国道のはずなのに
この上にあなたの顔みえたら
どんなわたしになる

忘れたくせに
忘れたくせに
涙で消したのに
気持ちが逸る
気持ちが逸って
スピード追いつかない

新しく誰かと始めたって
きっと比べてしまうに決まってる
目の聡い友達のさりげない
世話も遠慮してた

忘れたくせに
忘れたくせに
不意の電話ひとつ
もう一度あおう
もう一度あおうって
聞いた声を抱きたい

気持ちが逸る
気持ちが逸って
スピード追いつけない

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瞼がSCREEN


Milkの風を巻きあげる
稜線きわだつsilrouette
呼び止めれば片笑窪みせ
言葉をくれるけど

それじゃまたねと言った後の
人待ち顔に知る嫉妬
ぼくを呼ぶにも名ではなくなって
キミとかそんな調子

きみを取り巻くいかした男たち
それぞれ思惑ひめて近づく

ぼくの指に戯ぶきみの
紅い耳朶は瞼がscreen
ぼくの不幸はきみを超える人が
見つからないこと

ひとり夜の街に見送られ
Taxi俯きback seat
懐ほど心かろやかにならず
頭ほどheavy気味

望みは昔のきみではないよ
多情仏身に胸騒ぎする

恐れているね,しまいこんだ
ぼくの想いを口にしてしまうのを
素敵に輝く青眼は
時折り訴える

相槌を打つぼくの肩に
寂しさは出ているだろうか

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あなたはもう少し


やはり違うのだと強く思う
白い腕ぼくに見せる人
あの人は振り返り誘うけど
違うのだとぼくは思う

月日と横たわる距離感は
あなたを美しく見せるだけ

あなたはもう少し賢いと思ったよ
見失い掛けた愛の姿を
もう帰らないものとしてしまったね

逢ってる時には判らないけど
ぼくの言葉聞いてくれる人
あの人に嘘を吐いてるみたい
違うのだとぼくは思う

好きな人はたくさん居るのに
もうひとつ上にあなたが居る

あなたはもう少し優しいと思ったよ
浅い眠りを気遣ってくれる
あの人にはもう甘えられないの

あなたはもう少し賢いと思ったよ
ぼくを遠ざけることであなたが
楽になればそれでも良いけれどね

もう少し優しいと思ったよ
あなたはもう少し

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電話


この頃は調子が悪い
欲しかったレコードは廃盤
間抜け面おっさんと小競り合い
ぼくが何をしたと言うのかしらん

こう言うと電話の向こうで
おとなしい,おとならしい笑い声
くだらない世間話ばかりで
悪いけど心は上へ下へ

白いビルのことは忘れてた
あなたが不意に連絡つけなければ
Wow wow

何かあっていつの間にか
手持ちの駒をあなたは無くしたの
ふたりはもうあの秋の夜に
終わって
落ちて
くたばって
ごねたはずさ
そうだろう

近い内また電話するわ
言い置いてぼくから切るのを
じっと待つ息の中ほんとは
如何ばかり思惑があるのだろ

或るいはないのかも

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ラヴソングばかりを唄ってはいられない


春は北へ過ぎ去って
暗い雲の季節
表は濡れてきたって
部屋は乾いてるわ
時折り窓の下で呟く
車の音を気にしなくて良い

ラヴソングばかりを唄ってはいられない
明日も昨日と違う一日を送りたい

急に時計が遅れて
部屋も大きくなった
熱い珈琲いれたら
背伸びをしたくなった
いつか誰かに巡り遭えても
今の気持ちを大切にしよう

ラヴソングばかりを唄ってはいられない
明日も昨日と違う一日を送りたい

いつか誰かに巡り遭えても
今の気持ちを忘れずにいよう

ラヴソングばかりを唄ってはいられない
けれどどんな時でも口笛を絶やさない

ラヴソングばかりを唄ってはいられない
少し難しくても口笛で答えたい

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all words written by nii. n