豆焼沢


日程
2005年8月27、28日(土日)

メンバー
Iさん、Tさん

コースタイム
8/27 出会いの丘10:00〜ホチの滝11:30〜作業道13:00〜ビバーク地点15:00
8/28 ビバーク地点7:30〜大滝11:00〜登山道14:00〜雁坂小屋14:30〜出会いの丘17:30

概要
奥秩父の銘渓(らしいです)。台風一過の後だけあって、水量は多かったです(当たり前)。そのため、滝を直登できずに、巻きまくりでした。初日に予定通り進めず、夜半から雨だったので、2日目は撤退するつもりでしたが、結局登り切ってしまいました。上部はシャワークライミングになって楽しかったです。とにかく、滝、滝、滝という感じの沢でした。
(文中の滝の大きさとかは、「奥秩父・両神の谷」(山と渓谷社)による。)


途中、寄り道したりしたせいもあって、出会いの丘到着が、すでに10時近く。いろいろな記録をみて、大滝の上まで6時間で行けるだろうと高をくくっていたのが、全ての間違いの元。ここで既に標高1000mを越えているので、全然暑くはない。今にも降り出しそうな空模様。
準備をしていると、Tさんが、
「ハーネス、忘れた〜」
と。。まあ、ハーネスなら、シュリンゲで代用できるからなんとかなるか、という感じだったが、これが、今日のけちの付けはじめであった。
車道を少し戻り、ガードレールを越えて、踏み跡をたどり、藪をこいで、ワサビ沢に沿って下降していく。15分ほど降りると難なく、豆焼沢との出会いに到達。
特に難所もなく進んでいく。はじめて来たけど、きっと水量は普段より多いよねえ、という感じ。まあ、台風通過のあとだから当たり前といえば当たり前だが。

ホチの滝の手前で右側をまいて、小一時間で、ホチの滝の下部に到達。上部には、雁坂大橋。あれー、写真で見たのとはずいぶんと。。写真でみたホチの滝は、右側に細い筋で流れ落ちていたような気がしてたが、今日はほぼ壁面全面に、水がだーっと流れている。やっぱし、水量多いよ。大丈夫かあ。と不安になるが、どっちにしろこの滝は直登不可なので、左側を高巻くこととする。巻き道はしっかりしているようで、結構迷う。台風の後で道が荒れているせいもあるのだろう。滝の上部には降りられるかなという感じだったが、その先のゴルジュがどう見ても突破できそうにない。どうするかなーと考えた結果、少し戻って、作業道経由でトウの滝までに行くことに方針変更する。水量におそれをなしたというわけ。しかし、これがまた大変なことに。

再び、ホチの滝直下に降りて、先ほど巻いたあたりから、右側の斜面を登っていく。地図では作業道は表現されていないが、豆焼橋から、トウの滝まで直接抜ける道があるのだ。しかし、甘く見ていたのは、沢から少し登った程度で作業道に出るだろうと思っていたこと。実際は、えんえん、小1時間。急斜面をずるずると滑りながら登る。振り出しに戻ってからの方が早かったかあ?と思ったころに、やっと作業道に出ることが出来た。200mくらいは登ったか?

いやあ、登山道はラクだねえ〜。と、先ほどの苦労も忘れて、軽快な山歩き。30分ほど進むと、なにもここまでしなくてもという感じに、コンクリートで完璧に護岸されたトウガク沢が現れる。そして、沢を越えて、正面には、雁坂トンネルに通じると思われるトンネルがある(入口は鍵がかかっていて入れず)。結構、時間もロスっていたこともあり、
「ここで泊まって宴会して帰るか」
の冗談も出るが、完全な冗談に聞こえないのが、また悲しいところ。。
作業道の続きを探すも、なかなかみつからない。Tさんが、
「作業道って、このトンネルに続くんじゃないの?」
などというものだから、ここで宴会→明日温泉→帰宅の絵が再び浮かぶが、あまりにもアホな話なので、そのような妄想はさっさと打ち消す。しばらくして、Tさんが、道を見つけたということで喜び勇んで、進むが、途中でなにやらわからなくなってしまった。冗談じゃなく、ここでホントに宴会かよーと思ったとき、Iさんがそのすぐ上に道を発見。とりあえず、山行の体裁はとれそうな気がしてきた。ほっ。

作業道を進むと、めでたく、トウの滝の手前に降りることが出来た。

トウの滝  トウの滝

水量が多いので、左側を巻き気味に越える。2段の滝の上部にいったん降りる形になるが、そこに残地シュリンゲがあり、それを利用して右側に渡ることが出来る。のだが、そこで、渡らず、中途半端に少し登ってしまったために、シュリンゲで確保してもらった瞬間に気がゆるんで落下。下半身がずぶぬれ。トウの滝のすぐ上がビバーク適地であった。薪も豊富。やれやれ。
幕営はタープ+ツェルト。設営後は、Iさんはメシ、Tさんはたき火という感じ。亀の甲より年の功だね。なんかラクさせてもらった感じ。めでたく宴会。

ビバーク地点  ビバーク地点

2日目
夜半から雨。夜中にTさんに起こされる。シュラフがタープからかなりはみ出していたのだ。幸いシュラフカバーをしていたのでシュラフまでぬらすことはなかった。起床は5時。夜目にも水が増水しているように見えて、もう今日は撤収だなという感じで、やる気もなくだらだらとのんびりした気分で、朝飯を作ったり、片づけをしたり。ラジオも天気悪いと言っているし。

すぐ降りるのもなんだかねと言っていたら、Iさんが、大滝まで行ってみようやということもあり、じゃ、そうしますかということになった。しかし、こういう中途半端はいけないよねえ。でも、そのへんの適当さもいいんだけどね。
出発間際に、沢釣りの人たちが6人ほど通る。比較的若い人たちである。
釣り師達の後を追うようにして出発。途中、釣り師を何人か抜いていき、先頭の2人に追いついたところでいろいろと話を聞く。一人は豆焼に何度か入っているようで、地理には若干くわしそう。50mの大滝は、魚止めの滝と呼ばれているようだ。先にどうぞと言われるが、魚場を荒らしてはというので、後をついて行くように登っていく。釣りながら、登っていくのだが、そんなに遅いペースではない。途中、途中、大物のイワナを釣っている。しかも何匹も!台風の後だから釣れるのだという。なので、台風の後は競争だというのだ。

彼らが魚止めの滝と呼んでいる大滝の所まで来て、彼らはここまでという。巻き道は、手前左側ですよと言うので、行ってみたが、どうにも、その道が見あたらない。遡行図を見ると、さっきのは、大滝ではないのでは?ということで、戻ってみると、先ほどの2人は、滝を越えている。彼らの勘違いだったようで、平謝りに謝っていた。危ない。危ない。遡行図で言うと、ここは8mのすだれ状の滝であった。

8mすだれ状の滝  8mすだれ状の滝

その先、8mの滝を2箇所巻いて、二股で開けた所に出る。ほっと一息つける場所だ。なんか、大滝をちょっと見に行くはずだったのだが、もう後戻りする感じじゃなくなっている。ビバーク地点から大滝まではかなりの距離である。もう登り切るしかないなという感じ。逆算すると、14時までに登り切れば暗くなる前に下山できるので、この時点ではまだかなり余裕があるように思えた。でも、実際は、そうでもなかった。。

さらに進んで、本物の50mの大滝。水が少なければ、中央部から登れるらしいが、全面に水が流れていて、あきらかに無理。ここで釣り師たちとも別れる。

大滝  50mの大滝

左から高巻くと滝の直上に出られる。しかし、その上の、8m2条の滝が越えられない。かなり手前の右側からも巻けそうな感じでもあったが、ちょっと危なそうな感じ。滝の手前右側をもうちょっとで登れそうにも見えるが、岩にホールドが少なく、難しそう。Iさんが登ろうとするので、危ない、危ないとTさんが止める。
そうしているうちに、単独の人が追いついてきて、そこをなんとか登っていった。日帰りで荷物が我々のように重くないので、行けたのだと思う。荷物がネックといことで、空荷で登ることとする。さすがに、ホールドは少ないとはいえ、空荷だとなんとか登れる。7,8mほど登っていって、左の方にトラバースしていく感じ。そのまま行けそうな感じだったが、ランニングビレイ取れと下からどやされて、そうだそうだという感じで、岩角でビレイを取る。シュリンゲがぎりぎりでちょっとあせった。左にトラバースして登り切った後、自分のザックを引き上げ。直上でないので、結構面倒。その後、ザイルを下に投げたときに、ひっかかったりなんだりして、もたついたが、なんとか、無事にクリアした。

その後、19m4段の滝と5mの滝を合わせて、右側から大高巻き。降りたところ少し進むと、新しい焚き火後もあるビバーク適地。この後も、ビバークできそうな所もあったが、我々が泊まった場所が一番良いのでは?という感じであった。
その先、8mのナメ滝。水量もそれほどでもなく、傾斜も緩いので、滝の左側を直登。なんか今回はじめて滝を登ったような気がする。
さらに進むと、左右にすだれ状の滝を合わせる美しい二股。ほー、という具合に見とれる。

二股出会い  二股出会い

本流は右。滝の中央を登っていくが、水量が多く、水を浴びていると寒くなってきたため、右端の水量の少ないところを登っていく。すだれの滝の上は、60mのナメ滝となっている。とても登り応えのある楽しい場所である。これで、十分満足であったのだが、その先、まだまだである。小ゴルジュが連続し、シャワークライミングとなる。楽しい、楽しいと言っているうちに、だんだん寒くなる。水はかなり冷たい。

小ゴルジュ  ゴールは間近でも、水は多い

途中1:1の二俣を右に行き、いったんは、水流が途切れるが、しばらく行くと復活する。さすがにもう終わりだろうと思うが、またまた連続する小滝が現れる。うんざりして、右の枯れ沢を詰めましょうか?と言うが、Iさんにたしなめられたので、めげずに本流を登る。また、滝かよと、超えていくうちに、小屋の取水用のドラム缶が見えた。そこが登山道と横切る地点であった。結局、目標といっていた14時。予想以上に時間がかかった。

登山道に出てから、20分ほどで小屋。雨はあがった感じ。山小屋の管理人のおやじにいろいろ言われる。こんな天気に沢なんぞ登らないで、かあちゃんといたほうがいいんでないのとか、この装備の金はどこから捻出してるのとか。まあ、山小屋の管理人をしているくらいだから、一風変わっている。また雨が降りそうな感じなので、カッパを着ていると、下山中は降らないと蜘蛛が言っているとのたまう(実際に降らずに、暑くて途中で脱ぐことになる)。予定よりかなり遅れた下山となりそうだったので、自宅に連絡をとろうと思ったが、携帯の電波が入らない(後で問題に)。
この管理人もちょうど下山するところだったらしく、途中まで一緒の下山となる。割合と今までは元気だったのだが、この下山路で疲れが一気に出た感じ。結構いいペースで降りて行くので、かなりへばった。あと、下山用に持ってきた靴が適当なトレッキングシューズだったので、右足の親指に豆ができて痛い。

結局、小屋から3時間弱で下山。林道に出て、豆焼橋(下を覗くとものすごく怖い)を渡って、出会いの丘に戻ってきた。


山ホームホーム