日程
2003年6月22日(日)
メンバー
単独
コースタイム
銀山平5:15〜一の鳥居6:00〜庚申山分岐(お山巡り)6:50〜庚申山8:20〜鋸山10:15〜皇海山11:25〜鋸山12:45〜六林班峠13:20〜庚申山荘15:00〜一の鳥居15:40〜銀山平16:20
概要
以前、袈裟丸山から庚申山へ縦走したときに、行き残したのが皇海山(すかいさん)であった。それ以来、銀山平から日帰りで往復するつもりでいたら、6年も経ってしまった(山から遠ざかっていたというのもあるけれど)。この往復は、歩行時間12時間超のロングコースで(庚申山荘に1泊するのが一般的)、日帰りで行くには、やはり、日の長い季節がよい。うまい具合に梅雨の晴れ間で、しかも1年で一番日の長い夏至の登山となった。
皇海山は、標高2144mで、日本100名山にもなっている山。裏(とあえて書いちゃうけど)の林道から3時間程度で登る登山道もあるが、それではつまらない。庚申山から縦走して、足尾の山深さを堪能するべき(もっとも、その林道は、現在、途中通行止めで、かなりの林道歩きを強いられるらしい)。
ハプニングもあったが、やはり、ハードな山行になった。とりあえず、次の日会社には行けた。
うちを3時すぎに出て、銀山平の通行止めゲート手前の駐車スペースに着いたのは5時すぎ。車は全部で十数台程度。
ゲートを越えてしばらくは舗装路歩き。その後、ダート。途中、若者のグループや、おばちゃんの団体を追い抜いて、小一時間程度で、一の鳥居へ。
一の鳥居
それからは、渓流沿いの散策路という感じの道になるが、登りもややきつい。さらに、小1時間で、分岐点。このあたりには、赤い花がたくさん咲いている。 クリンソウ である。
庚申山から鋸山までは、以前通った道でもあるので、考えなしに、「庚申山」の方角へ進む。よくよく考えるとわかったはずなのだが、これは、庚申山の「お山巡り」コースであったのだ。かなり後になってから気づくこととなる。
そうとは気づかず、笹原の中を尾根筋に向かってじぐざぐに登っていく。途中、下山してくる女性が、
「この先の岩場にコウシンソウが咲いていますよ」
と教えてくれる。コウシンソウの群生地を通るんだっけな?と思いつつ、しばらくすると、右側に岩場が現れる。そこここに、花がたくさん咲いているので、これがコウシンソウ?と見ていたら、男性が向こうから来て、コウシンソウの咲いている場所を教えてくれる。たくさん咲いていたのは ユキワリソウ であった。コウシンソウは、とにかく小さいというのが第一の印象。指摘されなればわからなかったと思う。花は薄いピンク色。食虫植物というだけあって、たしかに、葉に生えたねばねばしてそうな毛に、虫の死骸が付着している。男性の話によれば、花の咲く時期は、もう終わりかけてるらしく、しおれてしまった花も多々見受けれられる。
コウシンソウ
その後、鎖場やらはしごやらという感じになる。道も間違いやすい。それに、時間を食っている割には、高度が全然上がらない。第一、以前、このような道を通った記憶がない。と思っているうちに、庚申山荘からの道に合流する。そこまで来て、やっと合点が行く。ちゃんと地図は見ないと。しかし、道を間違ったおかげ(それと、花を教えてくれた人がいたおかげ)でコウシンソウを見ることができて、とてもラッキーだった。今日はなんかついてるぞ。
とはいうものの、今日は体の調子がいまひとつのようで、足が重たく感じる。最近、体の方にがたが来ているというかなんというか、気ばかりあせって、体がついてこないということが多いような気がする。やっぱし、年食った?
まあ、それはそれとして、お山巡りで男性に会ったのを最後にして、鋸岳までは誰にも会うことがなかった。当面は静かな縦走路。天気も悪くないし。
庚申山頂自体は展望がないが、そこから、2,3分も進むと、とても見晴らしがいい場所がある。皇海山までが、すごく間近に見える。相変わらず、どしりと鎮座している。やあ、皇海山、ご無沙汰!という感じ。とても近くに見えるので、ここから3時間もかかるとは全く思えない。
けれども、ここから、鋸岳までは、細かなピークのアップダウンで、確かに時間はかかるのであった。おまけに、駒掛山をすぎたあたりで道を外してしまう。復帰するのには、ちょっとした藪こぎで、結構消耗した。このあたりは、尾根がやや広くなっており、笹に覆われて道が不明瞭なところが多い。とはいえ、尾根線を外さないように気をつけていけば、間違うこともないはずでもある。今日は、初っぱなから道を間違えるしで、
「おれもヤキがまわったな」
とつぶやこうとしたが、やめた。お前そんなに技術と経験があるのかよと、いう感じ。
それから、両足のももがつり気味になっており、登るのが結構つらくなってきた。ロスした分、オーバーペースになっており、そのつけが回ってきたという感じか。
鋸山までは、後半ほどアップダウンがきつくなる。けれども、その分展望も抜群。皇海山がどんどん近づく。皇海山は、登る山というよりは、こうして眺める山なのではとも思う。
白山からの展望
へとへとになりながら、鋸山。久々に人に会う。ここから、多くの人に会うようになるが、もちろん、皇海橋からの登山者が多いため。もっとも、六林班峠を経由して銀山平に戻る人も結構いたようだ。
鋸山というだけあって、とんがっているので、下りが急だ。戻るときにここを逆に登ることを想像すると、うんざりする。途中、小ピークを越えてしばらく行くと、皇海橋への分岐。後はシラビソ林の中を、ひたすらだらだらと登っていくだけ。普段ならなんてことないんだろうが、なにせ、ここまでで既に6時間近くは歩いているわけだから、しんどいことこの上ない。おまけに、ももが張って、足を上に上げるのも大変。日差しがきつく感じるので、頭にタオルを巻く。
やっと、登り切ると、山頂では、十数人ほど休んでいる。山全体が原生林に覆われていることからも予想されるように、展望はほとんどない。かろうじて、国境平から白根山方面が見えるだけである。国境平は、居心地がよさそうな感じの広いスペースで、機会があれば、是非行ってみたいという気にさせる。途中途中で、食いながら歩いてきたが、ここで、一応、昼食。
先が長いので、早々に下山開始する。到着したときに休んでいた人たちはまだ休んでいる。皇海橋に下りる人は時間的に余裕だ。銀山平方面から来た登山者の中では、多分、自分が最後発くらいなのだろう。日帰りしている人が他にいるかは知らないが。
やっぱり、鋸山への戻りの急坂がすごくこたえた。皇海山を眺めながら、しばし休憩する。今日何度も見たのでもう充分という感じ。
鋸山をピークに、後はほとんど下り一辺倒のはず。少しはラクになるかとも思ったが、そうでもない。六林班までは多少のアップダウンがある。笹藪もやや深いが、登山道沿いに一応刈り取られており、迷うということはない。途中で鹿に出会う。
六林班峠から先は、緩やかな傾斜が続くので、休まずに歩き続けることはできる。ただし、えらく長い。今日は、長い下りを考えて、ストックを2本持ってきており、足への負担が結構軽減されたと思う。考えてみると杖の類を使うのは始めてだ。
途中、中年の夫婦を抜く。
「若い人は速いねえ」
などど言われるが、若いと言われるのもいつまでか。
頂上で、おにぎり2個食べたつもりなのに、おなかがすいてきてしょうがない。少し休んで、最後のパンを食べる。残るは、カロリーメートだけ。持ってきたお茶3リットルはほとんど飲んでしまったが、途中の沢で補給しているので、水の心配は全くない。パンを食べていたら、単独の男性に抜かれた。
その後、しばらく、その男性について行く形で進む。途中で、道がわかりづらくなっている箇所。道は、まっすぐ進む方向に明瞭な踏み跡がある。しかし、案内板が左斜面を登る方向を向いている感じで、確かにそちらの方の笹藪にも踏み跡がある。ここの地点まで到達したときには、先行の男性はとっくにまっすぐの道を行ってしまっていたのだが、?という感じで、登りの方向の道を進んでみる。確信はなかったが、それで正解だった。下前方から、先ほどの男性と、別の男性から声をかけられ、こちらの道が正しいことを伝える。登山道が全体的に笹で覆われているので、このような、まちがいを犯しやすい。間違いそうな場所には、ひもが張られていて、進めないようにしていたりするのだが、それでも、こんなこともある。
そこから、30分ほど行って、やっと、 庚申山荘 に到着。数人が休んでいる。しかし、ここからも結構長い。
しんどいものの、ペースがあがる。早く帰りたいというのが本音だったか。いつものように、のんびりと写真を撮りながら歩くという感じではない。
結局、11時間あまりで銀山平に帰ってきた。よく歩いたな〜。しばらく山に行かなくてもいいか。