飯豊連峰


日程
2000年7月29日(土)〜8月1日(火)

メンバー
単独

飯豊は前々から行きたいと思っていた山域で、山形、福島、新潟にまたがる場所にある。3日とも好天に恵まれたは良いのだが、ものすごい暑さ。
つらかったけどまた行きたい(できれば、涼しいときに (^^;;)

コースタイム
7/29(土)
夜行
7/30(日)
御沢登山口 9:25〜峰秀水(水場)12:20〜三国岳 14:15〜切合小屋 16:05
7/31(月)
切合小屋 5:30〜飯豊山 7:40〜御西小屋 9:00〜大日岳 10:15〜御西小屋 11:35〜烏帽子岳 14:50〜梅花皮小屋 15:40
8/1(火)
梅花皮小屋 5:30〜北股岳 6:00〜門内岳 7:00〜(梶川尾根)〜太郎清水 8:55〜飯豊山荘 11:55


7/30(日)
 新津駅に降り立ったとき、今日はつらい登りになるなという予感がした。雨が降る心配はもはやしてなかったのだが、とにかく蒸し暑い。まだ朝の5時前である。
 飯豊を縦走するには登山口がいくつがあるが、代表的なのは、福島の川入(山都町)と山形の天狗平(小国町)である。今回はこの2者を結ぶコースを縦走する。前日は、夜行の移動である。新宿発「ムーンライトえちご」で上越線を北上し、新潟県の新津で磐越西線に乗り換えると、山都駅に朝の8時過ぎにたどり着く事ができる。

 磐越西線は、阿賀野川沿いを走る路線で景色が良く、座席の窓を全開にすると、吹き込む風がとても気持ちが良い。
 山都駅に降り立った登山者は案外少なく、中年男女4人のグループ、単独のおじさん1人と僕だけであった。ここから、登山口まではバスかタクシーを利用しなくてはならない。グループはタクシーでさっさと行ってしまった。もちろんこちらはバス。
 バスを待っていると、タクシーの運ちゃんが僕ともう一人のおじさんに話しかけてくる。なんでも、予約してた客が来ないんで、登山口まで一人1000円で行ってくれるとのこと(普通は6000円くらいかかるらしい。二人なら一人3000円が正規の料金になる)。おいしい話なのでもちろん乗ることにする。ちなみに、バスは登山口の手前の集落までしか行かないので、その意味でもラッキー。
 同乗のおじさんは、大阪から来たとのこと。今回の山行は全く同じルートで、しょっちゅう顔を合わせることとなる。

 バスの終点の川入のあたりには小さな民宿がたくさんある。いずれも登山者向けだろう。ここから御沢の登山口までは、結構な距離があって、歩いたらおそらく30分以上ありそうな感じ。
 登山口は自家用車であふれかえっていた。今日は日曜日なので、昨日入山した人達の車と思われる。百名山だし、登山シーズンだし、休みだしで、やはり人が多い。
 登山届けを提出し、よっこらしょっと、荷物を背負い(およそ20kg)、「酷暑」の中の登りを始める。
 初めの「長坂」と呼ばれる登りがとてもきつい。きつい上に、気温は30℃近いし、湿度はもちろん高いし、風もほとんどないという状態である。言葉に表すのもできないくらいしんどい。汗は吹き出て、上半身から下半身までびしょびしょになる。当然水の消費量も激しい。暑くなければ、ブナ林の中の爽快(とまではいかないかもしれないが)な登りのはずなのだが、そんな余裕は全くない。休憩の時間も長くなるが、日陰で休憩しても汗が全然ひかない。

 へろへろになりながら、地蔵山の巻き道にある水場に到着。1.5リットル確保してた水がほとんど空というか、少し抑え目に飲んでたこともあり足りない状態であったので、水場の冷水はまさに地獄に仏といった感じ。登る人も下る人も多くの人が休憩している。峰秀水と呼ばれているこの水場は登山道のすぐ脇にあり、水量も多い。大休止して生き返った。

 峰秀水のおかげで少しペースを回復する。とはいえ、そんなに長続きはしない。稜線上に出てもやはり暑い。この頃になると下山者と多く出会うようになる。三国岳への登りは岩稜帯。荷物が重くてしんどい。ときおり、風が吹きぬける場所で立ち止まり涼みながら登っていく。
 かなり消耗して三国岳山頂に登りつく。山頂は三国小屋があり、大日岳が遠くにどっしりと構えている。残雪が山肌にたくさんついている。話に聞いていたとおり、今年は雪が多いようだ。しばし休憩。これから行く稜線を眺めながら、「ここまで来れば切合小屋までは楽に行けるな」と思ったりする。でも、実際はそんなに甘くはなかった。
 切合小屋までは、思った以上にアップダウンがきつく、かなりばてばてになって小屋にたどりついた。午前中に相当に消耗したせいもあると思う。切合小屋は今夜はかなりの混雑のようである。なんでも団体登山のグループが泊まっているらしい。例の大阪のおじさんによれば、混んではいたが、寝返りは打てる程度の余裕はあったとのこと。一方、テント場は広いのだが、こちらの方も大盛況。20張り以上は既に張ってある。けれども、少し傾斜はしてるがまずまずの場所をキープ出来た。小屋でビールが800円(350ml)で売っていたが、もちろん買わずにはいられない。
 疲れたので、さっさと晩飯を食べてに横になる。かなり早い時間に眠ってしまった。真夜中に目が覚めて、外に顔を出すと満天の星空。明日も晴れだ。


大日岳(飯豊山途上より)

7/31(月)
 やはり快晴。朝日に赤く染まる大日岳が素晴らしい。
 明け方は、まだ気温がそれほど高くなく、快調に登る。飯豊山は双耳峰で、手前の峰に本山小屋と神社がある。神社で賽銭を投げて、山の安全祈願をする。お守りも売っているが、高いので買わない。
 そこから、20分ほど行くと、最高点。学生のグループがのんびりとくつろいでいる。ほんとに天気が良い。360度周囲の山々が良く見える。飯豊の山々、朝日に、蔵王、朝日連峰の向こうには月山と鳥海山も。そして日本海に佐渡島まで見える。割合と良い風が吹いているのだが、徐々に気温が上がってきたようで、暑い感じもするのも確か。

飯豊山頂からのパノラマ写真

 しばらく休んで、御西小屋へ向かう。途中、ニッコウキスゲをはじめとした様々なお花畑がある。昨日は登るのに必死で、鑑賞する余裕などなかったが、高山植物の豊かな山である。種類が非常に多い。
 緩やかなアップダウンをこえて、1時間ほど歩くと、御西小屋である。重たい荷物を降ろして、サブザックにカメラと水をつっこんで、大日岳を往復することとする。
 荷物が軽くなり、今回の山行で一番軽快で楽しい往復行になると思っていたが、暑くて暑くて。雪渓脇で涼しい風の吹いているところもあるのだが、ほとんどの場所は風がなく、日差しが容赦なく照りつける。途中までは、雪渓や池や花を眺めている余裕があったのだが、登りがきつくなると暑くて苦しかった。
 1時間程で山頂にたどりつく。ここが飯豊連峰の最高峰である。すこぶる展望が良い。誰もいなかったので、のんびりと山頂を独占した。

飯豊山(大日岳より)

 御西小屋に戻ると人がどっと増えていた。大日岳に行く途中の雪渓が水場になっている。水を確保したあと、小屋の陰でしばし休息する。いろんな人と雑談したのだが、話題はもっぱらこの暑さについて。こんな暑い登山経験したことないとか、ズボンまでこんなにびっしょり汗でぬれたことがないとか。お昼すぎくらいに、梅花皮小屋に向けて出発する。
 ここからは、コース上に残雪が残っている箇所が多い。事前に得た情報では、御西小屋と梅花皮小屋間は残雪が多くピッケル必携とのことだったので、ピッケルも持ってきたのだったが、実際には使わなかった。斜面をトラバースするような箇所もあるが、慎重に進む限り特に危険は感じない。ピッケルよりは杖とかストックとかの方が有用な感じ。ほとんどは地面の上を歩くのだから。それよりも、何よりもこの暑さである。午後になって大幅にペースダウンするのは昨日と同じ。
 きつい登りを登り切ると烏帽子岳の山頂。景色は良いのだが、あまり眺める余裕がない。さらに一山をこえて、ようやく、梅花皮小屋が視界に入る。
 梅花皮小屋は新しい小屋である。トイレはなんと水洗。テントは既に3張りほど張られている。小屋のまわりにたくさんのトンボ。ここに限らずトンボが本当に多い。この小屋にも800円の良く冷えているビールがある。大日岳を眺めながらビールを飲む。
 ラジオで天気予報を聞くと、新潟の予想気温37℃とか38℃とか言っている。フェーン現象。山も暑いわけだ。

8/1(火)
 小屋を早立ちする人などで、4時くらいから外が騒がしくなる。今日は時間的には余裕の行程なので、出発をゆっくりにしようと思っていたが、結局、昨日と同じくらいの出発時間になった。
 北股岳までおよそ1時間。最後の大きな登りである。天気はまたまた快晴である。ただ明け方で涼しいこともあり、難なく登り切る。昨日登った飯豊山がずいぶん遠くに見えるようになった。よく歩いてきたものだ。最後の2000mの山頂なので、のんびりとくつろいぐ。後から登ってきた中年3人組と雑談したところ、昨日、烏帽子岳のそばで子熊が近くを通ったとのこと。ほんまかいな、という感じ。

梅花皮岳と北股岳(梶川尾根より)
中央鞍部に梅花皮小屋

 さて、後はほとんど下り。当初の計画では、丸森尾根を降りる予定であったが、梶川尾根の方が展望が良さそうなので、こちらを降りることとする。飯豊山荘に下山する人もほとんどここから降りるようである。しかし、この下りがまたきつい。気温は上がっていく一方だし。途中、水場が一カ所あるが、水量が少なく、顔を洗うという感じではない。
 延々と続くかと思われる急勾配を下り、お昼にやっと飯豊山荘に下山。さっそくお風呂に入り(500円)、乾杯。今年一番うまいビールをごくごく飲んだ。

山ホームホーム